2004.11.10

右室機能はハイリスク心筋梗塞後患者の独立した予後予知因子

 心筋梗塞後患者にとって右室機能は予後を左右する重要な因子であり、進行した右室収縮機能不全は死亡や心不全だけでなく突然死や脳卒中の独立した予知因子にもなり得る−このような事実が、VALIANT(The Valsartan in Acute Mocardial Infarction)試験のサブ研究The VALIANT Echo研究の成績の解析から明らかになった。11月9日、米国Brigham and Women's病院のNagesh S Anavekar氏が報告した。

 心筋梗塞後の右室機能不全が死亡や心不全のリスクを増大させることは、SAVE(The Survival and Ventricular Enlargement)研究などの成績からも示されている。しかし、右室の形態の複雑さは右室機能の定量的評価を困難にしており、そのため、右室機能と心筋梗塞後のその他の臨床イベントとの関係について検討した成績は少ない。Anavekar氏らは、Echo研究の成績を解析することで、この点について検討を加えた。

 VALIANTは、心不全あるいは左室収縮機能不全を伴う急性心筋梗塞後のハイリスク患者約1万5000例を対象として、アンジオテンシン2受容体ブロッカーのバルサルタン単独、ACE阻害薬カプトリル単独、バルサルタンとカプトリルの併用の3群間で、長期投与での有効性と安全性を比較検討する国際多施設二重盲検臨床試験。サブ研究のEcho研究ではベースライン時の610例(心筋梗塞後の平均経過日数5.0±2.5日)を対象として、3群間で心室リモデリングの抑制および心室機能の改善効果が異なるかどうかが検討された。Anavekar氏らは今回、このうちベースライン時の右室機能評価が適切であったと判断された522例を対象として、臨床イベントとの関係について解析を加えた。右室機能は心エコーの心尖四腔断層像における、拡張末期から収縮末期にかけての右室内腔面積の変化率(RVFAC)を指標として評価。臨床イベントとしては総死亡、心血管死、心不全による入院、心筋梗塞の再発、心臓突然死、脳卒中について評価した。

 ベースライン時における522例の平均RVFACは41.9±4.3%であった。RVFACが低下、すなわち右室機能が低下するにつれて臨床イベントの発生率は上昇していた。RVFACにより522例を4群に層別(RVFAC<35、35−39、40−45、>45%)し、臨床イベント発生率の群間差に関して年齢、左室収縮率、Killip class、薬物療法の種類など20数種の要因で補正する多変量解析を行った後も、RVFAC低下は総死亡、心血管死、心臓突然死、心不全、脳卒中の独立したリスクファクターであることが認められた。しかし、RVFAC低下と心筋梗塞の再発との間には、そのような関係は認められなかった。なお、ベースライン時のRVFACが5%低下するごとに、致死的ならびに非致死的心血管イベントの発生リスクは70%上昇することも判明した。

 以上の成績をまとめて、Anavekal氏は冒頭のごとく述べるとともに、「ルーチンに右室機能の評価を行うことは、心筋梗塞後の患者のよりよいリスク分類に役立つと思われる」と付け加えた。(尾辻誠、医学ライター)

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