2004.11.10

【再掲】【AHA2004速報】 バイスタンダーによる救命処置、11分以内なら人工呼吸なしでも有効:大阪府での調査で判明

 街で人が突然倒れた時、感染の不安などから人工呼吸を含む心肺蘇生(CPR)をためらうバイスタンダー(偶然居合わせた人)が少なくない。そのような場合、救急隊が到着するまでの短時間であれば、心臓マッサージだけでも、人工呼吸を行った場合とほぼ同等の救命率が確保できることが大阪府における大規模研究で裏付けられた。大阪大学大学院医学系研究科生体統合医学の石見拓氏(写真)が11月8日のポスターセッションで報告した。

 大阪府は救命救急については国内で最も先進的な地域で、早くから救急隊扱いの全症例を国際標準に準拠したデータベースに登録し、エビデンスに基づいた救命率向上を試みている。石見氏らの研究グループは、このデータベースに基づいて、1998年5月から2001年4月までの3年間に救急隊が救命・搬送を行った病院外心停止症例1万5211例のうち、18歳以上、心原性心停止、バイスタンダーによる心停止の目撃ありという条件を満たす2857例を解析した。

 バイスタンダーが心肺蘇生(CPR)を行わない場合は1年後の生存率が2.4%であるのに対して、人工呼吸なしの心マッサージでは4.6%、人工呼吸+心マッサージでは5%と、救急隊到着までの間なら心マッサージだけでも、人工呼吸を行う場合に近い救命率を確保できることが分かった。

 心停止者の救命率は、救命隊到着時に心室細動/心室頻拍(VF/VT)の状態が維持されているかどうかで大きく左右される。本研究の対象例2857例中、VF/VT が維持できたいたのは474例で、残りの2367例はさらに深刻な心静止、または無脈性電気活動(PEA)に移行していた。両グループの1年後生存率は、VF/VT維持群が9.5%、心静止/PEA群が1.7%

 一方、全2857例中、バイスタンダーによるCPRが行われたのは677例(23.7%)で、このうち、397例では人工呼吸と心臓マッサージが、280例では心臓マッサージだけが実施されていた。2180例ではCPRは実施されていなかった。これら3群のVF/VT維持率は、人工呼吸+心臓マッサージ群が24.7%、心臓マッサージだけを実施した群が22.2%で、CPR非実施群の14.5%に対し、有意に維持率が高かった。

 これらの結果は、一般人が心停止症例に遭遇したときは、「人工呼吸を無理に試みるより、ともかく救急隊が来るまで心臓マッサージを続ける」ことが有効なことを示している。ただし、心停止後、12分を超えると人工呼吸の有無でVF/VT維持率に差が現われ始め、16分以上では人工呼吸がないと生命維持は難しい。この点、「日本では通報後、救急隊到着までは平均6分程度であり、心停止後12分を超えることは少ないだろう」(石見氏)という。(中沢真也)

■ 訂正 ■
 5段落目に、「CPR実施群の14.5%に対し」とあるのは、「CPR非実施群の14.5%に対し」の間違いでした。お詫びして訂正いたします。
 

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