2004.11.09

急性心筋梗塞後のレビパリン投与、アスピリンや再灌流療法と併用で30日後の死亡率が13%減

 急性心筋梗塞後に、レビパリンをアスピリンや冠動脈バイパス術といった再灌流療法と併用することで、発症30日後の死亡率は13%減少することがわかった。発症30日後の心筋梗塞のリスクも23%下がり、一方で脳卒中の発症率には差が見られなかった。心筋梗塞後の抗凝固薬の投与は、現場では広く行われているものの、その効果を実際に示す研究結果はこれが初めてという。11月8日のレイトブレイキング・セッションで、カナダMcMaster大学のSalim Yusuf氏が発表した。

 Yusuf氏らは、中国とインドで、急性心筋梗塞でST部上昇または新たな左脚ブロックが見られた1万5570人の患者を対象に試験を行った。全員に対してアスピリン投与を行い、適用の場合には再灌流療法も行った。そして被験者を2群に分け、低分子ヘパリンのレビパリンまたはプラセボを7日間投与した。

 その結果、7日後に死亡、心筋梗塞、脳卒中のいずれかを発症した人の割合は、プラセボ群が11.0%だったのに対し、レビパリン群は9.6%だった(ハザード比:0.87、95%信頼区間:0.79〜0.96)。30日後に同発症率について調べたところ、プラセボ群は13.6%だったのに対し、レビパリン群は11.8%だったハザード比:0.87、95%信頼区間:0.79〜0.95)。

 また30日後の死亡リスクは、レビパリン群はプラセボ群の0.87倍(ハザード比:0.87、同:0.79〜0.96)、心筋梗塞発症リスクは同0.77倍(ハザード比:0.77、同:0.62〜0.95)だった。

 さらに、レバピリン投与は症状が発症してからできるだけ早く始めると、より効果があることもわかった。30日後の死亡、心筋梗塞、脳卒中のいずれかの発症リスクについて見てみると、発症2時間以内に投与した人では、プラセボ群と比べたハザード比が0.70だったのに対し、2〜4時間では同比は0.81、4〜8時間では0.85、8時間以上では1.06だった。

 出血リスクはレバピリン群で増えたものの、1000人の治療対象グループに対してレバピリンを投与することで、17人に対する死亡、心筋梗塞、脳卒中のいずれかを予防でき、一方で生命にかかわる出血は1人、重度の出血は2人増えることになるため、全体としては治療効果が出血リスクを大幅に上回るとしている。

 Yusuf氏は、レビパリンは比較的安価で投与法も簡単なため、先進国に限らず発展途上国にとっても、今回の研究結果は重要であるとコメントした。
(アンドリュー・テンヘイブ、當麻あづさ、医療ジャーナリスト)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 医師・医学生の不祥事報道を目にする度に… 東謙二の「“虎”の病院経営日記」 FBシェア数:53
  2. 70歳女性。咽頭痛 日経メディクイズ●救急 FBシェア数:1
  3. 意外と多いナースの更衣室の悩み 小林光恵の「ほのぼのティータイム」 FBシェア数:22
  4. 「102歳Asystole」に思うこと 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:287
  5. 医師免許を失う以外はたいしたリスクじゃない 鈴木裕介の「キャリア迷子」に捧げる処方箋 FBシェア数:0
  6. 子どもにとってトイレやうんちは諸刃の剣 田中由佳里の「ハラワタの診かた」 FBシェア数:90
  7. 麻疹集団感染、医療機関の受診者からも陽性者 パンデミックに挑む:トピックス FBシェア数:244
  8. 地域医療連携推進法人の運用ガイドライン決まる 制度の内容がほぼ確定、4月2日にも第1号認可か FBシェア数:8
  9. 昨年11月時点の7対1病床、半年間で6105床減 シリーズ◎2018診療・介護報酬同時改定 FBシェア数:8
  10. インフルエンザ脳症が58例に、6人死亡 インフルエンザ診療Next:トピックス FBシェア数:385