2004.11.09

急性冠動脈症候群後の高用量スタチン投与で、LDLコレステロール値は下げすぎても安全性に問題なし

 急性冠動脈症候群の後、高用量による積極的スタチン治療によって低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値を下げ過ぎても、安全性に問題はないことが明らかになった。むしろLDLコレステロール値が40mg/dL以下のグループでは、80〜100mg/dLのグループに比べて臨床成績が良いという。これまでの研究結果から、急性冠動脈症候群の後、高用量スタチンを投与することで、死亡や心筋梗塞などのリスク減少につながることがわかってきたが、一方でLDLコレステロール値が下がり過ぎてしまった場合の安全性が懸念されていた。米Brigham and Women's病院のStephen Wiviott氏(写真)が、11月8日の一般口演で発表したもので、同研究は今回の学会の「注目すべき研究」に選ばれている。

 Wiviott氏らは、急性冠動脈症候群の後、アトロバスタチン80mg投与とプラバスタチン40mg投与について臨床アウトカムを比較した試験、「PROVE IT − TIMI 22」の研究を終了している。同研究では、平均2年間追跡した結果、アトロバスタチン80mg投与の方がアウトカムが良いことが明らかになった。今回の研究では、PROVE IT試験でアトロバスタチン80mgを投与したグループのうち、投与開始後4カ月時点でのLDLコレステロール値が100 mg/dL以下だった1756人について再調査した。

 調査対象の1756人を、LDLコレステロール値によって、40mg/dL以下、40〜60mg/dL、60〜80mg/dL、80〜100mg/dLの4グループに分類した。追跡期間中の死亡、心筋梗塞、入院を要する不安定狭心症、再血管新生術、脳卒中のいずれかの発症リスクについて見てみると、LDLコレステロール値が下がるに従って、リスクが低下する傾向が見られた。80〜100mg/dL群に比べ、40〜60mg/dL群のハザード比は0.67(95%信頼区間:0.50〜0.92)、40mg/dL未満群のハザード比は0.61(同:0.40〜0.91)だった。死亡や心筋梗塞、脳卒中など、個別のイベントについても、4群では差が見られなかった。また、肝臓や網膜などに関する副作用の発症率も、差がなかった。

 Wiviott氏は、「LDLコレステロール値が低すぎる場合でも、副作用などの問題がなければ、スタチンの投与量を減らす必要はない」と結論付けた。また、現状では急性冠動脈症候群の後、スタチンの投与量を徐々に上げてLDLコレステロール値を推奨値の100 mg/dLに下げていくのが標準的治療法だが、PROVE IT試験と今回の調査結果から、「当初から高用量スタチンを投与し、副作用がなければその用量を維持するという、従来とは逆のアプローチの方がアウトカムが良いとするエビデンスが出てきた。これはパラダイムの変革と言える」(同氏)としている。
(アンドリュー・テンヘイブ、當麻あづさ、医療ジャーナリスト)

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