2004.11.08

【AHA2004速報】 胃バイパス手術で病的肥満の若年者の心疾患リスクを大幅に改善

 平均体重が170kgという10代後半の超肥満者に対して胃バイパス手術を施行したところ、6カ月間にBMIが平均56から36へと20前後も下がり、左心室容量も大幅に改善した。症例が5例と少ないが、胃バイパス手術が病的肥満による心疾患リスクを長期的に減少させる有望な手段であることを示す研究として注目される。11月7日のポスターセッションで、米Cincinnati Children’s Hospital Medical CenterのHolly Ippisch氏(写真)が報告した。

 肥満者では、若年者や子どもでも糖尿病や高コレステロール血症など成人タイプの疾患に罹患するリスクが高いことはよく知られている。特に著しい肥満者の場合、左心室肥大や左心室後壁の肥厚が起こり、心疾患リスクが高くなることが明らかになっている。Ippisch氏らの研究グループでは、既存の体重減少プログラムから脱落したBMIが40以上の若年者に対し、胃バイパス手術を施行し、6カ月後の体重と心形状などを追跡した。

 対象はBMIが40以上で2型糖尿病や睡眠時無呼吸症候群などの深刻な合併症があるか、BMIが50以上で軽度の合併症がある思春期後の若年者。先天性心疾患患者は排除した。本研究では平均年齢18歳の女性4人、男性1人を対象とした。平均体重は172kg、平均BMIは実に56である。

 胃バイパス手術を施行後、平均6カ月後には、BMIは平均56から平均36へ、有意に劇的な減少が実現した。平均の体重減少量は58kgだった。左心室後壁厚は平均1.1cmから0.96cmへ、左心室容量指数(身長の2.7乗で容量を除した値)は平均47から36へといずれも有意に減少した。

 Ippisch氏は、「今回の症例は劇的に改善したとはいえ、肥満を脱したわけではない。今回の発表では短期間の追跡結果だけを報告しているが、約40人について2年間の追跡を既に行っており、今後発表する予定だ」と話した。(中沢真也)

■ 訂正 ■
 4段落目に「左心室後壁厚は平均1.1mmから0.96mm」とあるのは「左心室後壁厚は平均1.1cmから0.96cm」の間違いでした。訂正いたします。

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