2004.11.08

血栓溶解療法失敗後の救済的PCI、6カ月アウトカムで初めて効果を証明

 急性心筋梗塞後に血栓溶解療法を行っても、血管が再開通しない場合、12時間以内に救済的経皮的冠動脈形成術(PCI)を行うことで、何もしない場合や血栓溶解療法を再度行った場合に比べ、6カ月後のアウトカムが大幅に良いことが初めて明らかになった。一方、血栓溶解療法を再度行っても、何もしない場合と効果は変わらないこともわかった。これは、11月7日の特別セッションで、英国Leicester大学のAnthony Gershlick氏が発表した。

 急性心筋梗塞後の血栓溶解療法で、血管の再開通が見られないことはしばしばあり、英国ではその割合は約4割にも上るという。実際には、その後救済的PCIや再度の血栓溶解療法を行うか、または何もしないという方法がとられているが、それぞれの効果を裏付けるエビデンスは、これまで殆どなかったという。この研究結果はまた、大学病院のような特殊な施設ではなく、英国35カ所の医療機関で行われたもので、実際の医療現場の状況を反映したものである点でも評価できる。

 Gershlick氏らは、急性心筋梗塞が発症して6時間以内に血栓溶解療法を行った後、90分後の心電図で、ST上昇の改善が50%未満だった427人について、調査を行った。被験者は3群に分かれ、1群は救済的PCIを、2群は再度の血栓溶解療法を、3群は24時間ヘパリンを投与した以外は何も行わなかった。なお、痛みを感じてから最初に血栓溶解療法を行うまでに要した時間の中央値は2.3時間、再度の血栓溶解療法を行うまでは同5.5時間、救済的PCIまでは同6.9時間だった。

 6カ月後に、死亡、再度の心筋梗塞、重度心不全、脳卒中のいずれかの発症率について比較したところ、再血栓溶解療法群は31.0%、何も行わなかった群は29.8%だったのに対し、救済的PCI群は15.3%と、約半分だった。救済的PCI群を行った人は、何も行わなかった場合に比べ、先のいずれかのイベントを発症するリスクは、約0.47倍(ハザード比:0.47、95%信頼区間:0.28〜0.79)だった。救済的PCI群を行った群と再度血栓溶解療法を行った群を比べると、同ハザード比は0.45(95%信頼区間:0.27〜0.75)だった。

 また、6カ月後の死亡率について見てみると、再血栓溶解療法群は87.3%、何も行わなかった群は87.2%だったのに対し、救済的PCI群は93.8%と、有意に高かった。なお、救済的PCIを受けた人で、出血が原因で死亡した人はいなかった。

 Gershlick氏は、この研究結果で初めて、救済的PCIが最もアウトカムが良いことを証明できた、と結論づけた。
(アンドリュー・テンヘイブ、當麻 あづさ、医療ジャーナリスト)

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