2004.11.08

rofecoxibの心臓血管系リスクを示す証拠は2000年にはあった、累積メタ分析から

 Merck社が「Vioxx」(rofecoxib)の販売中止を発表したのは9月30日だ。再発性大腸腺腫の予防にこの製品を適用した3年間の臨床試験、APROVeで、18カ月以上使用した患者の心臓血管系リスク上昇が示されたためと説明された。2003年の米国での売り上げが25億ドルに達したこの薬剤は、既に8000万人に投与された。スイスの研究者らは今回、リスクが明らかになった時期を特定するために、無作為割付比較対照試験(RCT)と観察研究の変量効果モデルを用いたメタ分析を行い、結果をLancet誌電子版に11月5日に発表した。

 投与による心筋梗塞のリスク上昇は、2000年のVIGOR試験で公になった。が、
refecoxib投与群で心筋梗塞発症率が5倍という結果は、rofecoxibの心臓毒性によるものではなく、対照群に投与されたナプロキセンの心臓保護効果がもたらしたと見なされた。

 今回研究者らは、データベースを調べて、慢性の筋骨格疾患患者を対象に、
rofecoxibと他の非ステロイド系抗炎症剤または偽薬を比較した試験と、ナプロキセンの心臓血管系への作用を調べた研究を選出した。

 リスク評価はRCT18件、観察研究11件を対象に行われた。累積メタ分析は、患者数が14247人になった2000年の時点で心筋梗塞リスク上昇を明示した。2000年末までの相対リスクは2.30、2001年末には2.24だった。対照群が偽薬、ナプロキセン、それ以外の抗炎症剤のいずれであるか、また試験期間により、相対リスクが変わることはなかった。分析結果は1〜2カ月の投与でもリスク上昇を示した。また、外部にエンドポイント評価委員会を設置した試験ではリスクがより強く示された。

 一方、ナプロキセンの心臓保護効果を調べた11件の試験の結果を総合した相対リスクは、0.86だった。が、ナプロキセンの保護効果は、VIGORの結果を説明できるほど強力でなかった。また、メタ回帰分析の結果は、Merck社が資金提供した2件の試験で、心臓保護効果がより強く現れたことを示した。

 以上の結果は、市販は数年前に中止されるべきだったことを示し、製薬会社とFDAの責任を問うものとなった。

 合わせて掲載されているコメントは、この論文が、Merck社の市販後監視のための内部システムの深刻な機能不全と、FDAの監視体制の致命的欠陥を指摘し、Merck社を相手取った患者たちの訴訟で大きな意味を持つデータを提供したと述べている。また、コメントによると、Wall Street Journal紙は先頃、Merck社の重役の一人が2000年の時点で「Vioxx」のリスクを完全に認識していたことを示すe-mailを公開した。

 論文の原題は「Risk of cardiovascular events and rofecoxib: cumulative
meta-analysis」、現在全文がこちらから閲覧できる(Lancet誌のサイトへの登録が必要です)。 (大西淳子、医学ジャーナリスト)

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