2004.11.05

【医薬品・医療用具安全性情報】 注射用抗生物質によるショック、皮内反応では予知できず、問診や救急処置などの備えの方がより重要に

 10月末に発表された医薬品・医療用具等安全性情報(206号)は、医療現場に大きな影響を与える情報が盛り込まれていた。その一つが、注射用抗生物質によるショック・アナフィラキシー様症状に対する安全対策の見直しだ。従来は「事前に皮膚反応を実施することが望ましい」とされてきたが、薬事・食品衛生審議会専門委員が「実施する意義が乏しい」と結論、「十分な問診、救急処置の備え、投与の際の十分な観察」などの対策がより重要とされた。

 対策変更の背景には、日本化学療法学会の検証で、皮内反応ではショック・アナフィラキシー様症状を予知できないことが明らかになったことがある。

 同学会は、注射用βラクタム系抗菌剤などの添付文書にある「事前に皮膚反応を実施することが望ましい」との記載について、皮内反応の実施意義が十分に検証されていないと指摘。その上で、予知目的の皮内反応の有用性を評価するエビデンスが存在しないと結論付けた(委員会報告:日本化学療法学会誌 51:497-506, 2003)。

 同様に、財団法人日本抗生物質学術協議会からも、βラクタム系注射剤の皮内反応が科学的に根拠が乏しいとし、「今後継続する意義はない」とする要望書が出されていた。
 
 これらを踏まえ、薬事・食品衛生審議会専門委員は、添付文書の「使用上の注意」を改訂。以下のように改めた。

(1)事前に既往歴などについて十分な問診を行うこと。なお、抗生物質などによるアレルギー歴は必ず確認すること。
(2)投与に際しては、必ずショックなどに対する救急処置をとれる準備をしておくこと。
(3)投与開始から投与終了まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。

 なお、日本化学療法学会は「抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のガイドライン(2004年版)」を作成、ホームページ上に掲載するなど周知徹底を図っている。(三和護)



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