2004.11.02

米国におけるインフルエンザ・ワクチン不足の影響が深刻化、州単位で対策も

 British Medical Jornal誌10月30日号で、Owen Dyer氏は、米国におけるインフルエンザ・ワクチン不足の影響がさらに広がりつつあると報告している。これまでに900万人分のワクチンの追加入手が可能になり、確保されたワクチンは計6100万人分となった。今年生産が依頼されていたのは1億人分で、通常ならその約半分がハイリスク群に投与されるため、FDAは、健康な人が自粛すれば、6100万人分でハイリスク者たちの要求には答えられると述べた。が、ワクチン不足を伝える報道により、接種希望者が増加し、その数は前例のないレベルになりつつあるとの報告もある。

 各州の当局者も自ら対策に乗り出している。イリノイ州知事のRod Blagojevich氏は、FDAに、Aventis Pasteur社がフランス工場で製造したワクチンの評価を依頼した。このワクチンは、通常は欧州とカナダで使用される。州知事部局は少なくとも6万2000人分のワクチンを単価7ドルで購入する交渉を行っている。これは、米国における通常単価を大きく下回る価格だ。

 一方米国では、流通業者による価格の大幅な値上げが起きている。先週、カリフォルニア州検事総長が同州の3社を召還した。価格上昇に関する情報を得るためだ。そのうちの1社であるDubin Medical社は、既にテキサス州の検事総長から告訴されている。同社は、10人分のワクチンが入ったバイアルを通常価格の10倍以上となる950ドルで販売しているという。

 大統領候補のKerry氏は、Bush政権がワクチン製造会社の保護を怠ったことが、ワクチン不足の原因の一つと非難した。が、Bush大統領は、米国における製造物責任訴訟の脅威が、製薬会社をワクチン製造から撤退させたのであり、Kerry氏こそワクチン製造を妨げた本人だと反論した。Kerry氏は、2002年にBill First氏上院議員が提出した、訴訟からワクチン製造者を守る法案に反対票を投じたから、というのがその理由だ。製造会社を保護すれば副作用に苦しむ人々は救われない。ワクチン不足の根本的な問題の解決に向けた道のりは長い。

 原題は「Shortage of flu vaccine in US sparks political row」、全文がこちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. これだけは知っておきたい「改正道路交通法」 プライマリケア医のための認知症診療講座 FBシェア数:244
  2. 「死にそうな時は何にもしなくていい」と言われてた… 患者と医師の認識ギャップ考 FBシェア数:482
  3. 50歳女性。左下腿に生じた皮膚潰瘍 日経メディクイズ●皮膚 FBシェア数:0
  4. 国際医療福祉大学医学部の志願者倍率は27.7倍 昨年開学した東北医科薬科大学を大幅に上回る人気 FBシェア数:422
  5. 「ネットは仕事に悪影響」と電カル未導入の病院 日経ヘルスケアon the web FBシェア数:68
  6. 安易な食物除去はNG、湿疹の管理も忘れずに インタビュー◎「食物アレルギー診療ガイドライン」改訂のポイント FBシェア数:558
  7. 超高層老人ホーム、救命はどうなる? 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:311
  8. 意外と知らない看取りの手順 平方眞の「看取りの技術」 FBシェア数:67
  9. 往診に行ったら仏壇をチェック!? Dr.西&Dr.宮森の「高齢者診療はエビデンスだけじゃいかんのです」 FBシェア数:152
  10. 1日で299人、悪夢のような銃創ラッシュ 国境なき医師団が見た世界の医療現場 FBシェア数:114