2004.11.01

ASNにて報告予定のBENEDICT試験、一足先に論文公表

 腎機能正常の高血圧糖尿病例において、ACE阻害薬が微量アルブミン尿出現を抑制できるかどうか検討していたBENEDICT試験は、現在セントルイスで開催中の米国腎臓病学会(ASN)最終日の11月1日に報告予定だが、それに先立つ10月31日、NEJM誌ウェブサイトにて11月4日号掲載予定の結果論文が公表された。著者はASNにて報告予定であるMario Negri Institute for Pharmacological Research(イタリア)のPiero Ruggenenti氏らである。
 
 レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬にはすでにIRMA2試験において、微量アルブミン尿を認める2型糖尿病例の顕性タンパク尿への進展を抑制作用が報告されているが、BENEDICTはそのさらに前の段階、つまり腎機能正常の糖尿病例において、微量アルブミン尿出現をACE阻害薬トランドラプリルが抑制できるかを検討した試験である。

 微量アルブミン尿を認めない高血圧の2型糖尿病1204例が、トランドラプリル2mg/日、トランドラプリル2mg/日+ベラパミル180mg/日、ベラパミル240mg/日、プラセボの4群に無作為化され、二重盲検法で3.6年間(中央値)追跡された。
 
 その結果、ACE阻害薬群ではプラセボ群に比べ、微量アルブミン尿陽性例の出現が相対的に53%有意に遅延していた(相対リスク:0.26〜0.83)。同様に、併用群でも61%の有意な遅延を認めた(同:0.19〜0.80)。一方、ベラパミル群では17%の相対的遅延を認めたが、有意差とはならなかった。

 なお、糸球体濾過率(GFR)は4群とも同等だったとのことだ。
 
 そこでこれらの背景を比較すると、試験開始時に151/87mmHgだった血圧はACE阻害薬群139/81mmHg、併用群139/80mmHg、ベラパミル群141/82mmHg、そしてプラセボ群142/83mmHg−−に低下しており、プラセボ群ではACE阻害薬群と併用群に比べ有意(p≦0.002)に高かった。なお、試験薬で降圧目標(120/80mmHg未満)に達成しない場合、1) 利尿薬、2) α遮断薬、クロニジン、メチルドパ、β遮断薬、3) ミノキシジルまたは長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬−−が追加可能だった。

 一方、血糖値と血清脂質は4群間に有意差を認めなかったという(データ未提示)。
 
 また、「ACE阻害薬群(単独群+併用群)」と「非ACE阻害薬群」で比較しても、ACE阻害薬群では非ACE阻害薬群に比べ相対的に56%、微量アルブミン尿への移行リスクが有意に遅延していた(p<0.001)。両群の試験開始時背景因子は同様だったという。

 一方、「ベラパミル群」と「非ベラパミル群」を同様に比較したところ、こちらでは有意差は認められなかった。
 
 軽度腎障害が心血管系リスクであることは今日広く認識されており、昨年の米国心臓協会(AHA)では、微量アルブミン尿陽性例においてACE阻害薬フォシノプリルがプラセボに比べ有意に心血管系イベントを減少させたPREVEND ITも報告されており(Circulation 2004; Oct 18, E-PubPubMed:) 、糖尿病例に対する早期からのACE阻害薬開始により、10年単位の長期予後改善が期待される。

 本論文のタイトルは「Preventing Microalbuminuria in Type 2 Diabetes」、現在こちら で全文が公開されている。(宇津貴史、医学レポーター)
 

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