2004.11.01

【米国腎臓病学会速報】 糖尿病合併透析例にスタチンは無効:4D試験から

 10月29日より米国セントルイスで、1万人以上の参加者を集め開催されている米国腎臓病学会において、糖尿病を有する慢性維持透析例に対するアトルバスタチンの心血管系イベント予防作用を検討した4D試験(Randomized Controlled Trial with Atorvastatin in Dialyzed Diabetic Patients)の結果が報告された。29日のシンポジウム「動脈硬化:腎障害例では一般と異なる疾患」において、Univeristy Clinic, Wuerzburg(ドイツ)のChristoph Wanner氏が報告した。
 
 4D試験の対象は、透析導入後2年以内で、LDLコレステロール(LDL-C)値:80〜190mg/dL、トリグリセライド:1000mg/dL以下の糖尿病1255例(平均66歳)。直近3カ月以内に心血管系イベントを発生した例は除かれている。

 これらを4週間の導入期間後にアトルバスタチン20mg/日群(619例)とプラセボ群(636例)に無作為割り付けし、二重盲検法で4年間(中央値)追跡した。
 
 その結果、複合一次評価項目である「冠動脈疾患死、非致死性心筋梗塞、脳卒中」発症リスクは、アトルバスタチン群で8%の減少傾向を示したが有意とはならなかった(相対リスク:0.92、95%信頼区間:0.77〜1.10)。また、総死亡、冠動脈イベント、脳血管障害のいずれも、発生リスクは両群間で同等だった。

 血清脂質は、試験開始時120mg/dL強だったLDL-Cが、試験開始4週間後にはアトルバスタチン群では72mg/dLまで、またおよそ250mg/dLだった総コレステロールは149mg/dL、220mg/dLだったトリグリセライドは172mg/dLまで低下しており、試験期間を通じてアトルバスタチン群で著明に低値を示していた。なお、筋障害、肝障害など、重篤な副作用の発現は両群で同等だった。

 それにも関わらず、心血管系イベントの減少がアトルバスタチン群で認められなかった原因としてWanner氏は、「透析導入まで病態が進展すると、脂質代謝という1つの危険因子是正だけでは転帰改善に不十分なのではないか」と述べた。

 一方、アトルバスタチンには糖尿病例における心血管系イベント一次予防作用が示されたCARDS試験 (Lancet 2004; 364: 685PubMed:) があるため、「糖尿病にスタチンを用いるのであれば、より早期からが有用だろう」とWanner氏は述べ、また、本試験の結果が、現在、透析例が服用しているスタチンの中止を促すものではないと注意を呼びかけた。

 本年7月に公表された、米国高脂血症ガイドライン(ATP III)に対する改善勧告 (Ciruclation 2004; 110: 227、PubMed:) では、超高リスク例に対するLDL-C:70mg/dL未満までの低下も1つのオプションであるとしているが、本試験の結果、透析例には該当しない可能性も出てきた。
(宇津貴史、医学レポーター)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 安易な食物除去はNG、湿疹の管理も忘れずに インタビュー◎「食物アレルギー診療ガイドライン」改訂のポイント FBシェア数:41
  2. 叱るのが苦手…、態度が悪い職員にどう指導? 診療所経営駆け込み寺 FBシェア数:4
  3. 「死にそうな時は何にもしなくていい」と言われてた… 患者と医師の認識ギャップ考 FBシェア数:426
  4. 人が死ぬ理由 じたばたナース FBシェア数:6
  5. 遠隔医療、ネット診療って儲かるの? 駒村和雄の「健康寿命で行こう」 FBシェア数:29
  6. 30代男性職員の母親から届いた理不尽な苦情 院長を悩ます職員トラブル大研究 FBシェア数:29
  7. 医療者を守る放射線防護の10カ条 リポート◎急がれる医療者の被曝低減策 FBシェア数:83
  8. 「管理薬剤師以外は派遣」の薬局が迎えた結末 マイルバガナム恵美の「日本とカナダの薬局見聞録」 FBシェア数:4
  9. 在宅医療のサービス提供、評価のあり方を議論 シリーズ◎2018診療・介護報酬同時改定 FBシェア数:67
  10. 著名病院同士が合併、病院大再編時代の幕開け 記者の眼 FBシェア数:449