2004.10.23

【米国リウマチ学会速報】 抗リウマチ薬のリンパ腫主犯説に疑義:リスクは治療効果に依存、奏功例ではむしろリスクは減少する

 関節リウマチの治療に用いられる抗リウマチ薬(DMARDs)はリンパ腫の発症リスクを増大させることが従来の研究で指摘されている。しかし、関連性はないとする研究もあり、明確な結論が出ていなかった。ところが薬剤投与の奏功度合いによってグループ分けをしたところ、治療効果が上がらない群ほどリンパ腫発症リスクが高く、奏功群では、投与薬剤によっては薬剤不使用群と比べ、逆に有意なリスクの低下が見られる場合があるという興味深い事実が明らかになった。10月20日のポスターセッションC「疫学2」でスウェーデンUpsala University HospitalのEva Baecklund氏(写真)が報告した。

 研究グループでは、スウェーデン入院患者データベースと癌データベースから、6万2692人の関節リウマチ患者のうち、リンパ腫を発症した424人を抽出し、個々の症例に対して関節リウマチ患者コホートから対照例を選ぶ症例内対照研究を実施した。DMARDsによる治療効果は、抗マラリア薬、金製剤、メトトレキサート(MTX)、サルファサラジン(サルファ剤)の4種類について、担当医による評価や炎症がある関節数などを基に、「なし」「中等度」「良好(奏功)」の3段階で評価した。

 個々の薬剤について、薬剤非投与の発症リスクを1とした治療効果別の相対リスクを見たところ、すべての薬剤で治療効果が低い群ではリンパ腫リスクが高く、奏功群では低くなっていた。

 面白いことに、抗マラリア薬の奏功群ではオッズ比が0.3(95%信頼限界:0.2-0.4)、金製剤では0.7(同0.4-1.1)、MTXでは0.4(同0.1-0.9)、サルファ剤では0.2(同0.1-0.4)と、金製剤を除き、薬剤非投与の場合よりも有意に発症リスクが低くなることが分かった。

 なかでも抗マラリア薬では、治療効果なしのオッズ比が26(6.2-110)、中等度が2.6(1.5-4.7)、良好が0.3(0.2-0.4)と、治療効果と発症リスクに強い量依存的な傾向が見られた。他の薬剤でも同様の傾向が観察された。

 一方、DMARDs使用とリンパ腫発症リスクの関連性については、金製剤だけは投与群が対照群の1.5倍と有意な差が見られたが、そのほかの薬剤、あるいはDMARDs投与群全体では統計的有意な傾向は見られなかった。

 これらの結果からBaecklund氏は、「今後の検証が必要となるが、関節リウマチ患者のリンパ腫発症リスクに対しては、治療薬の影響は2次的なものに過ぎず、関節リウマチ自体による炎症亢進が主因になっている可能性が示唆される」と結論付けていた。「病気が治れば薬が安全に使えます」ということではもちろん困るわけだが、関節リウマチの病態の特定因子とリンパ腫発症リスクの関連性が明らかになれば、別の薬剤でその因子を抑制したうえでDMARDsを投与することで、より安全にDMARDsを利用できるようになるのではないだろうか。(中沢真也)

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