2004.10.21

TNF阻害薬投与で整形外科手術後の早期重度感染症リスクが約5倍に

 関節リウマチ患者でTNF阻害薬を服用している人は、していない人に比べ、整形外科手術後の重度感染症リスクが約5倍にも増えることが明らかになった。これまで、TNF阻害薬の服用による結核リスクの増加については報告されているものの、術後の同感染症リスクの増加については知られていなかった。これは、米Johns Hopkins大学のJon T. Giles氏が、10月20日の一般口演で発表したもの。関節リウマチは、発症して10〜15年たった人の20〜35%もが整形外科手術が必要になることが知られているため、術後感染症への対策が重要になる。

 Giles氏は、1999年1月から2004年3月までにJohns Hopkins Arthritis Centerで診察した患者のうち、その期間に整形外科手術を行った91人について調査した。調査の対象とした術後早期の重度感染症とは、術後30以内に発症した、敗血症性関節炎、骨髄炎、深い傷の感染症で、小胞炎や表在性の傷の感染症は除いた。対象とした整形外科手術は、関節の中への機器の挿入や、骨の解離が関与するものだった。

 手術を行った91人のうち、TNF阻害薬を服用している人は35人だった。術後に早期重度感染症を発症したのは、TNF阻害薬を服用していない56人中3人(5%)だったのに対し、服用している35人中7人(20%)に上った。同感染症に関するTNF阻害薬服用者の、服用していない人に対するオッズ比は、補正前が4.4(95%信頼区間:1.1〜18.4)、年齢や性別、糖尿病の有無、リウマトイド因子などについての補正後は5.3(同:1.1〜24.9)だった。

 Giles氏は、手術前後にTNF阻害薬を一時的に中止することの必要性が示されたとし、その期間についてはさらなる研究が必要だとしながらも、「術前は服用中のTNF阻害薬の半減期の2〜3倍の期間、術後は2週間、服用停止してはどうか」と提言した。それに対し会場の医師からは、「今回の研究結果のみから、現状の診療を変えるのはいかがなものか」という反論や、一方で、「TNF阻害薬が術後早期の感染症リスク増加に関与するのであれば、術後2週間で服用を再開するのは早すぎるのでは」と、服用停止を支持しながらその期間についての疑問をとなえる声も上がった。(當麻あづさ、医療ジャーナリスト)

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