2004.10.21

米国はインフルエンザ・ワクチン不足にどう対応するのか

 New England Journal of Medicine誌は、米国がこの冬に直面するインフルエンザ・ワクチン不足が非常に深刻な問題を引き起こす可能性を重視し、Rochester大学のJohn Treanor氏の見解を同誌電子版に10月18日に掲載した。

 Chiron社の英国製造施設で起きた雑菌混入問題は、同社製インフルエンザ・ワクチンの回収を余儀なくした。結果としてこの冬に市場に出回るワクチンは、Aventis社の5400万本と、MedImmune社の経鼻投与型生ワクチン110万本になる見込みだ。これは2004年のワクチン・キャンペーンに必要な用量の半分でしかない。既に、ワクチン価格の上昇を懸念する報道も始まっている。

 他国からの調達も含むワクチン確保手段が検討されている。しかし、準備は最終的なワクチン不足を想定して進められねばならない。CDCは、インフルエンザの合併症が最も起こりやすい人々(6〜23カ月の小児、65歳以上の高齢者、2〜64歳で慢性疾患の患者、妊娠の可能性がある女性、養護施設等の入所者、医療従事者や6歳以下の小児に接する介護者など)への接種を推奨した。前年に比べ、50〜64歳の健常人や、子供以外のハイリスク者の介護に当たる人は除外された。ワクチンの効率よい分配も重要だ。生ワクチンの適応は健常人に限られるからだ。先頃、健康な若者なら通常の半量でも有効という報告があった。確認のための迅速な臨床試験実施が望まれる。

 一方、amantadine、zanamivirなどの治療薬には予防効果もある。しかし供給量には限界がある。

 ワクチンは主に感染者の入院と死亡を抑えている。ワクチン不足は、インフルエンザの発生率や死亡率にどんな影響を及ぼすだろうか。もちろん、影響の大きさは流行するウイルス型およびその規模に依存する。

 数社のみに製造を依存するワクチン供給体制の脆弱性が指摘されたのは昨今のことではない。製造法が特殊なインフルエンザ・ワクチンは、供給に特に問題が生じやすい。抗原の変化に合わせて毎年新たな製品を製造しなければならない上、抗原型の同定から、鶏卵を使った製造を経て流通に至るまでに、6〜8カ月かかる。

 今回の教訓は、より多くの会社が製造に携わることや、鶏卵を用いない製造法の確立が緊要を強調した。バイオテロへの備えも大切だが、例年流行し、一定の死亡率を持つ感染症への備えも充実させる必要がある。

 原題は「Weathering the Influenza Vaccine Crisis」、現在全文がこちら(PDFファイル)で閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)

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