2004.10.21

早期関節リウマチ患者に対するインフリキシマブの投与は、就労能力をより良く維持する−−ASPIRE試験より

 早期の関節リウマチ患者を対象としたASPIRE試験は、2003年フロリダの当学術集会で注目を集め、本年も5演題がエントリーされている。この日は、オーストリア・Vienna大学のJoseph Smolen氏から、早期関節リウマチ患者の就労能力維持に関するインフリキシマブの有用性が発表された。

 ASPIRE試験の対象は、持続性滑膜炎発症後3カ月〜3年でメトトレキサー
ト(MTX)未治療の早期活動性リウマチ患者である。対象はMTX単独群、ないしはMTXとの併用でインフリキシマブ投与群(3mg/kgまたは6mg/kg)に無作為化された後、54週間の経過観察が行われた。インフリキシマブは0/2/6週に投与され、以降8週間隔で投与が継続された。対象患者の就労の可否(家事などへの従事も含む)について「就労可能(*)」と「就労不可能(**)」によって評価を行った(*:「就労可能」;雇用されている、あるいは仕事があり働く意思もある状態。**:「就労不可能」;解雇されたか、あるいは仕事があるが働く意欲がない状態)。

 本解析では、加齢による雇用の喪失を除外するため、試験対象から65歳未満(n=856)が抽出され、解析に供された。これらの患者では、試験開始時点で「就労可能」が6割強だった。

 54週間の経過観察後、「就労可能」から「就労不可能」に転じた患者の割合はMTX単独群で14%だったのに対し、インフリキシマブ投与群では8%と有意に少なかった(p=0.05)。また、この結果をMcNemar's Testによって評価したところ、インフリキシマブ投与群のみで就労能力の維持効果が有意であると判定された。

 一方、試験前に「就労可能」と判断された患者に関して、試験期間中の休業日数(仕事や家事などを休んだ日数)を調べたところ、インフリキシマブ投与群ではMTX単独群に比して有意に休業日数が少なかった(p=0.015)。

 以上の結果から、早期関節リウマチ患者であっても、インフリキシマブを投与することで患者の就労能力は良好に維持されると考えられた。これは、患者QOLの向上のみでなく、社会経済的な生産性向上に寄与するだろうとJoseph Smolen氏らは語った。ASPIRE試験では数多くの示唆に富むサブ解析が行われているが、本演題ではインフリキシマブを早期から投与することによる社会経済的なメリット(患者就労能力の維持)が示された。(水田吉彦、医学ジャーナリスト)

*本演題は海外で実施された臨床試験であり、インフリキシマブの国内未承認用量が含まれます。

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