2004.10.20

インフリキシマブは破骨細胞形成を強力に抑制する

 関節リウマチ患者の病変局所では基質分解酵素が多く発現しており、TNFαはこの基質分解酵素の発現誘導に関与することで軟骨の分解を促進するといわれている。さらにTNFαは、破骨細胞形成を促進するなどして骨吸収の促進にも働く。抗ヒトTNFαモノクローナル抗体であるインフリキシマブは、こうしたTNFα作用を阻止することで、骨破壊抑制の臨床的効果を発揮している可能性が示唆される。東京女子医科大学の八子徹氏らは、TNFαと破骨細胞の関係に注目して、インフリキシマブの作用機序を実験的に調べた。

 従来、生体内における単球からの破骨細胞形成は、骨芽細胞の共存下に行われることが知られていた。一方IL-17を培養系に添加すれば、骨芽細胞が共存しない状況でも単球が破骨細胞に形成されることを発見した八子氏らは、TNFα作用が単純明確化されているこのex. vivo培養系を用いてインフリキシマブの効果を検討した。

 本検討では、ヒト末梢血の単核球細胞から単離されたCD11b陽性モノサイトが、M-CSFを含む培養液中にて数日間初代培養されたのち実験に供された。同氏らは、まずモノサイトの培養系にIL-17を添加して、破骨細胞が形成されることを確認した。次いで、同培養系にIL-17とインフリキシマブを共に添加したところ、破骨細胞形成の著明な抑制を認めた。興味深いことにインフリキシマブによるこの抑制効果は、同実験系におけるオステオプロテゲリンの効果よりも強力であった。

 IL-17は活性型T細胞によって産生され、関節リウマチ患者の関節液中に多く認められるサイトカインの1つであることから、本実験で用いられた破骨細胞形成モデルには生化学的妥当性が支持される。それを踏まえて八子氏は以下のように述べた。「従来、破骨細胞形成に関与するものとしてRANKL(ligand for the receptor activator of nuclear factor κB)が知られていました。しかし、この培養系を用いた一連の実験からは、RANKLよりもむしろTNFαの方が、破骨細胞形成に深く関わっているのかも知れないと考えさせるデータが得られました。TNFαは確かに破骨細胞形成を促進し、インフリキシマブはその作用を阻害することで破骨細胞形成を強力に抑制していました。本実験データは、骨破壊進行抑制や骨密度減少抑制といったインフリキシマブの臨床効果を、機序の側面から裏付けているように思います」。 
(水田吉彦、医学ジャーナリスト)

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