2004.10.19

早期関節リウマチ患者に対するインフリキシマブの投与は、骨びらんの新規発生を予防する−−ASPIRE試験より 



 オーストリア・Vienna大学のJoseph Smolen氏らは、昨年フロリダの当学術集会においてASPIRE試験の治療的側面を報告している。すなわち、インフリキシマブとメトトレキサート(MTX)の併用により関節リウマチの早期から積極的に治療を行うことで、MTX単独よりも優れた治療効果(症状改善、骨破壊抑制、機能改善)を発揮することが実証されていた。今回、ASPIREグループのE.W.Clair氏らは、同試験の予防的側面に注目し、新規骨びらんの発生に対するインフリキシマブの抑止効果を解析した。

 ASPIRE試験では、1000例以上の早期関節リウマチ患者(持続性滑膜炎の発症後3カ月〜3年、活動性関節リウマチでMTX未治療の患者)が対象とされた。対象は、MTX単独、MTX+インフリキシマブ3mg/kg、MTX+インフリキシマブ6mg/kgの3群に無作為化された。インフリキシマブは0/2/6週に投与され、以降8週間隔にて46週まで治療継続された。そして、骨X線検査が試験前と54週後に実施され、手足の所見がSharp/van der Heijdeスコア(SHS)を用いて数値化された。

 SHS評価の可能であった1004例が解析に供された結果、試験前後において骨びらんを全く認めなかった患者がMTX単独群には57.5%存在し、インフリキシマブ3mg/kg併用群には78.0%(p<0.037 vs MTX単独)、インフリキシマブ6mg/kg併用群には79.2%(p<0.028 vs MTX単独)存在していた。

 一方、試験前に1カ所以上の骨びらんを認めた患者のうち、その骨びらんが増悪しなかった患者や、骨びらんの数が増えなかった患者は、用量を問わずインフリキシマブ併用群にて有意に多く認められた(vs MTX単独)。

 また、54週までに新たな骨びらんを生じた関節数は、MTX単独群の平均1.43±2.23カ所に対して、インフリキシマブ3mg/kg併用群では0.73±1.33カ所、インフリキシマブ6mg/kg併用群では0.59±1.12カ所と有意に少なかった(各p<0.001 vs MTX単独)。
 
 「新規骨びらん関節数に関していえば、群間差異が小さいように見えるかもしれない。しかし、多くの骨びらんを伴わない早期関節リウマチ患者が対象であることから、こうした差異でも十分な臨床的価値を反映しているものと考える」とASPIREグループのメンバーらは述べた。さらに、本試験結果を総括して「早期関節リウマチからのインフリキシマブ治療は、骨びらん防止を実現するだろう」との見解を加えた。

 世界的にも、関節リウマチの早期発見と早期治療が重要とされている。多くの医師が関節リウマチの予後改善に期待して、患者を早期に発見し、積極的に治療開始するよう心掛けているだろう。そうしたなか、本臨床研究において、インフリキシマブに骨びらんの予防効果が認められたことは大変興味深い。「インフリキシマブは、早期関節リウマチ患者の治療と予防の両面に寄与することが明らかとなった。早期であっても炎症反応(赤沈およびCRP)が高値な症例には、インフリキシマブによる積極的な治療が望まれる」と彼らは締めくくった。
(水田吉彦、医学ジャーナリスト)

*ASPIRE試験関連の演題は19日にも発表されます。また、本演題は海外で実施された臨床試験であり、インフリキシマブの国内未承認用量が含まれます。

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