2004.10.15

癌患者の卵巣組織を凍結保存し治療後に同所移植、その後患者が生児を出産

 卵巣は、細胞障害性の治療に対する感受性が非常に高い。そのため、化学療法、放射線治療などを受けた女性の癌患者は、早期閉経と不妊にみまわれる可能性がある。そうした女性の生殖能力を将来回復させる手段として、ベルギーの研究者らは、1995年以来、146人の女性から卵巣組織を採取し凍結保存してきた。その中の1人が、ガン治療完了後に卵巣組織の同所性自家移植を受け、妊娠出産に成功したという初めての報告がLnacet誌電子版に9月24日に掲載された。

 25歳のステージIVホジキン・リンパ腫患者から卵巣皮質の生検標本が採取されたのは1997年のこと。化学療法開始前に12-15mm×5mmの組織片5個が冷凍保存された。癌治療後、患者は早期閉経となった。

 2003年、凍結融解した卵巣組織は、腹腔鏡を用いて同所性に移植された。卵巣は2つとも萎縮しており、移植はその外、右卵巣門のすぐ下に行われた。5カ月後、基礎体温、月経周期、超音波検査、ホルモン濃度などが排卵周期の回復を、腹腔鏡検査および超音波検査が移植部位に卵胞の存在を示した。

 5〜9カ月の間、患者には月経があり黄体または卵胞形成が毎回起こった。

 移植から11カ月後、絨毛性ゴナドトロピン濃度と超音波検査の結果は、妊娠を示した。その後、妊娠は順調に経過し、健康な女児の出産に至った。

 研究者らは、移植する組織に癌細胞が混入していないかどうかを調べる確実な方法の開発が必要だと述べると同時に、若い女性の癌患者のQOL向上および生殖能力回復をめざして、卵巣組織の凍結保存を広く行うべきだと述べている。

 論文のタイトルは「Livebirth after orthotopic transplantation of cryopreserved ovarian tissue」、概要はこちらで閲覧できる(Lancet誌サイトへの登録が必要です)。(大西淳子、医学ジャーナリスト)

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