2004.10.12

開業資金乏しい医師の“駆け込み寺”、国民生活金融公庫の利用法

 診療所の開業資金の借入先として人気があるのは、なんといっても国民生活金融公庫だ。通称「こくきん」は、全国に150もの支店を構える政府系金融機関。小規模事業者を中心に様々な融資を行っており、2003年度の融資実績は67万件、3兆1160億円にのぼる。

 開業に利用されているのは、主として新規開業ローンだ。融資額は7200万円以内(うち運転資金4800万円以内)。返済期間は設備資金15年以内、運転資金7年以内。利率は返済期間によって違うが、年1.75%〜1.95%だ(8月11日時点)。

 融資を受けるには、必要な資金の額や調達方法、開業後の経営の見通しなどを記した「事業計画」が欠かせない。所定の「開業計画書」もあるが、それはA4 版2枚程度の簡単なもの。コンサルタントなどに詳細な事業計画書を作成してもらうケースも多いだろう。

 しかし、細かければ細かいほどいいというわけでもないようだ。審査の過程では、同公庫の担当者との面談が行われる。その際、事業計画について説明を求められてしどろもどろになるようではマイナスになる。逆に、事業計画はつたなくても、医療技術ややる気、人間性などをアピールできれば、好印象を与えるだろう。

 同公庫の新規開業ローンには、750万円以内・金利2.95%(8月11日時点)の担保も保証人も不要の融資制度もある。無担保・無保証と聞いて飛びつきたくなるかもしれないが、開業時に利用するのは難しい。開業前か開業直後でまだ税務申告を終えていない場合は、開業資金の半分以上を自己資金でまかなう必要があるからだ。

 ただし、「1回税務申告を済ませ、2回目を済ませる前であれば、自己資金の要件が外れ利用しやすくなる」と、同公庫の担当者はアドバイスする。無担保・無保証の融資制度は、開業後追加の設備投資が必要となった場合や、運転資金が足りなくなった場合の“つなぎ資金”として、利用するものと心得ておいた方がよさそうだ。

 なお、電子カルテの導入など情報化のために必要な設備の取得を行う場合は、「IT資金」という融資制度も利用できる。7200万円以内だが、特別に低い金利が適用され、「業歴に関係なく利用できるから、開業資金の一部としての利用も可能」(担当者)だ。

 国民生活金融公庫の新規に開業する医療機関向けの融資実績は、年に1000件を超える。それだけに融資審査のノウハウもかなり蓄積されてきており、安易な姿勢で融資を受けようとすると痛い目に合いかねない。融資の種類や利用条件をきちんと把握し、真摯な姿勢で事業計画書の作成や面談に臨むことが大切だ。(井上俊明、医療局編集委員)

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