2004.10.12

「政治的影響」にクレームの中医協、まずます増える政治の出番

 政治的な影響を受けるなどという文言は削除してほしいぐらいだ−−。10月6日に開催された中央社会保険医療協議会の全員懇談会で、星野進保会長は語気荒く語った。中医協を舞台とする贈収賄事件の当事者の一人、日本労働組合総連合会の幹部が示した、「中医協委員推薦にあたっての連合の改善策」と題した文書に対してのことだ。

 今回の全員懇談会は、連合のほか、日本歯科医師会や健康保険組合連合会が、事件の再発防止策を提示し、それについて議論するために開催された。6月9日以来、ほぼ4カ月ぶりの全員懇談会だ。

 会長が問題視したのは、連合が示した文書中の「中医協の改善について」という部分。文書は、今回の贈収賄事件が診療報酬改定のプロセス自体にもいくつか問題を投げかけているという認識から、以下のように指摘している。

 「診療報酬の改定が中医協を舞台に行われるにもかかわらず、その科学的根拠に基づく改定ルールが必ずしも明確ではなく、政治的な影響を受けるなど、被保険者・患者・国民が納得するだけの公平性・透明性が必ずしも担保されていない」。

 出席した連合の幹部が文言の主旨を説明することで、その場はとりあえず収まった。だが、筆者が違和感を持ったのは、むしろクレームをつけた格好の星野会長の発言に対してだった。

 年末ぎりぎりまでもつれたここ何回かの診療報酬改定で、その引き上げ率が日本医師会と政府・与党との話し合いで決まり、「政治決着」と言われたのは記憶に新しい。細かい点数設定の背景に、日本の医療をある方向に持っていこうとする厚生労働省の「政策誘導」があるのは、医療関係者ならだれでも認めるところだ。

 こうした現実をたびたび見せつけられては、診療報酬の改定が政治的な影響とは無縁だと言われたところで、説得力に乏しいのは否めない。そもそも、科学的根拠だけで改定が実施できるのであれば、中医協のような利害調整のための機関は必要ないはずだ。

 かつて、税制に関して「公平・簡素・中立」が原則とされた。だが近年は、「活力」が強調されるようになってきた。経済を活性化させる手段として税制を活用しようという考えからだ。医療に関しても、医療費抑制という至上命題に加え、質の確保やアメニティー向上、さらには有望産業としての期待も背負うようになってきている。

 これだけ医療に求めるものが多様化してくれば、その行方を大きく左右する診療報酬の決定の際、何を優先するかの価値判断が求められるのは避けられない。これは、まさしく「政治的な影響」だろう。診療報酬決定の理想的なあり方はともかく、政治の出番は今後ますます増えてくるだろう。
(井上俊明、医療局編集委員)

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