2004.10.12

【日本高血圧学会速報】 高血圧治療中の患者でも仮面高血圧は心血管系のリスク

 今回の学会では、米国より血圧日内変動の専門家Thomas G Pickering氏を招き、Keynote セッション「血圧変動」が10月8日に行われた。同セッションにおいて国立循環器病センター内科・高血圧腎臓部門/大阪大学加齢医学の富山真理氏が、降圧治療下の仮面高血圧では心血管系危険因子が悪化しているとの横断的研究を報告した。  

 対象は、1年間以上降圧薬を服用している本態性高血圧163例。脳心腎合併症を認める例、またインスリンを要する等尿病例は除外されている。高血圧の定義は収縮期血圧で、診療所血圧140mmHg以上、24時間平均血圧135mmHg以上とし、「仮面高血圧」は診療所血圧が140mmHg未満だが24時間血圧が135mmHg以上の例とした。

 まず仮面高血圧群(52例)では、診療所血圧・家庭血圧ともにコントロールされている「血圧正常化群」(84例)に比べ、昼間血圧・夜間血圧とも血圧変動が有意に大きかった。この血圧変動の有意な増大は診療所・家庭血圧とも高血圧である「高血圧群」では認められなかった。

 臓器障害を評価すると、仮面高血圧群では正常血圧群に比べ、左室肥大と頸動脈肥厚が有意に進展していた。さらに、高血圧群と比較しても、仮面高血圧群におけるこれらの進展は有意だった。また微量アルブミン尿で評価した腎機能も、仮面高血圧群では正常血圧群、高血圧群に比べ有意に低下していた。  

 背景因子にばらつきがあるため、年齢、性別、BMIや代謝性疾患の有無、喫煙・飲酒、腎機能や24時間血圧などで補正を行ったが、仮面高血圧は左室肥大、頸動脈肥厚、アルブミン尿の有意なリスクだった。服用中の降圧薬で補正後も、同様だった。  

 仮面高血圧は降圧薬服用例の臓器障害の独立したリスクであり、高血圧よりも臓器障害への影響は大きい。これは短時間の血圧変動性が高いことに起因する可能性がある−−。富山氏はこのように結論付けた。
(宇津貴史、医学レポーター)

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