2004.10.10

【日本高血圧学会速報】 専門家が理想とする高血圧治療の実施で、現状の医療費が3分の1に節約できる

 日本高血圧学会の理事を中心とする専門家が考える理想的な高血圧治療を実施すると、現状の医療費が3分の1に節約できることが分かった。これは300万〜650万人の新たな患者の治療に振り向けられる額に相当するという。10月7日のポスターセッションで、国立保健医療科学院の池田奈由氏らが発表した。

 研究グループは、日本高血圧学会理事156人を対象にアンケート調査を実施した。時期は2003年3月14〜31日で、136人から回答が寄せられた(回収率87.2%)。

 アンケートでは、安定期高血圧症の「医学的に適切な通院間隔」「生活習慣病指導管理に適切な頻度」「検査品目・頻度」「第一選択薬・降圧薬の使用状況」などを尋ねた。

 理想的な診療とは、高血圧治療の専門家が理想と考える診療や実際に行っている診療とした。現実の診療は、2002年の社会医療診療行為別調査の基づいて計算している。

 1人当たり年間診察・検査料は、診療行為別・年間1人当たり実施回数×診療報酬(診察料、生活習慣病指導管理料、検査・画像診断料)。1人当たり年間投薬料は、単剤・多剤がブランドとジェネリック別で調査。単剤の場合は、Ca拮抗薬と降圧利尿薬の場合薬価×仕入価率×365日。多剤の場合は(現場での使用割合×薬価×仕入価率)の合計×365日とした。仕入価率はブランドが90%、ジェネリックが75%として計算している。

 その結果、1人年間当たり医療費を弾き出したところ、理想では初診料が2700円、再診料5700円、生活習慣病指導管理料が6万6000円、尿・血液検査などが5万7600円で検査料合計で9万9000円だった。

 一方で現実の診療では、1人年間当たり医療費は、初診料が2700円(理想と同じ)、再診料2万2200円(理想5700円)、生活習慣病指導管理料が4万2900円(理想6万6000円)、尿・血液検査などが1万1200円(理想5万7600円)で検査料合計で7万6300円(理想9万9000円)だった。

 1人当たりの年間検査頻度は、理想では7回(現実24回)、生活習慣病指導管理が理想では6回(現実4回)だった。

 これらを総合すると、理想とする高血圧治療の場合、医療費(診察料と検査料)は、1人当たり年間で5.5万円となった。現実の医療費は14万9000円で、実に3分の1となった。

 研究者らは「今後限られた医療費の中で、より多くの患者に診療を施していくには、今回のような専門家が考える理想的な診療を考案していくことが望まれる」と結論付けている。(三和護)

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