2004.10.06

病院の外来分離に行政指導の逆風、5県が開設取り下げを指導

 医療法人が病院の敷地内や隣接地に診療所を開設し、外来機能を移す「外来分離」がブームになっているが、日経ヘルスケア21編集部の調査により、外来分離を事実上規制している都道府県があることが明らかになった。

 調査は今年9月、全都道府県を対象に電話アンケートの形で実施。その結果、栃木、長野、山口、熊本、宮崎の5県が、開設計画を取り下げるよう指導すると回答した。これらの県では、指導により開設計画を取り下げたり、当初の計画を変更して病院から離れた場所に診療所を開設するケースも現れている。

 指導の根拠は大きく分けて二つある。まず一つ目が、「病診連携や診療報酬制度のあり方からみて問題がある」というもの。外来分離に踏み切る医療法人の中には、病院本体の紹介率向上などによる増収を主目的としているケースもある。「独立した病院と診療所が連携し、紹介率を高めるのが本来のあり方で、自ら診療所を開設する方法は不適切」(熊本県健康福祉部地域医療推進課)というわけだ。

 二つ目が医師数のカウントの問題だ。医療法では、病院に配置すべき医師数について入院、外来患者数を基に算出する計算式を設定しているが、診療所の医師数の要件は設けていない。つまり、外来分離して診療所にすれば、外来患者が何人いても医師は最低1人いればいいということになる。栃木県保健福祉部医事厚生課の担当者は、「医師確保が難しい病院が、医師数の要件をクリアする手段として外来を分離する可能性がある。外来分離を認めてしまうと、他の病院に対する指導が根底から揺らぐ」と語る。

 このほか、一定の条件に該当する場合には計画変更を求めるとする県もある。例えば、群馬県や愛知県などは、「病院と同一敷地での診療所開設を認めない」と回答。埼玉県や千葉県などは、有床診療所としてベッドを設けることは認められないとしている。有床診の場合、病床過剰地域での実質的な増床を規制するのが狙いだ。

 厚生労働省は、外来分離について「実態を把握してからスタンスを表明したい」(保険局医療課)としており、まだ具体的な検討は行っていない模様だ。だが、都道府県により指導に大きなばらつきが生じている以上、早晩、何らかの対応を取らざるを得ないだろう。

 今年4月の診療報酬改定では、外来分離の問題が議論の俎上に上ったものの、結局、規制が導入されることはなかった。だが、日本医師会が外来分離に批判的なスタンスを取っており、次期改定で何らかの措置が取られる可能性がある。今後の中央社会保険医療協議会(中医協)での議論から目が離せそうにない(詳細は「日経ヘルスケア21」10月号53ページのリポートを参照)。
(吉良伸一郎、日経ヘルスケア21

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