2004.09.27

イヌは尿の臭いで膀胱癌患者をかぎ分けられる、検証実験で示唆

 1989年、飼い犬が主人の皮膚の病変部に異常な関心を示したことをきっかけにメラノーマが見つかった、という報告がLancet誌に掲載された。その後も、イヌには癌患者をかぎ分ける能力があることを示唆する逸話風のレターが同誌にいくつか投稿された。確かに、癌患者の汗や呼気には、癌細胞から発せられた揮発性の物質が含まれる可能性はある。そこで英国の研究者らは、イヌを訓練すれば、膀胱癌患者をかぎ分けられるようになるかもしれないと考えた。実験の詳細は、British Medical Journal誌9月23日号に報告された。

 膀胱癌を選んだ理由は、癌細胞が分泌した物質は尿に入ると予想されるからだ。訓練は普通のイヌ6匹を対象に7カ月間行われた。36人の患者と、対照群となる、他の病気の患者または健康な人108人の尿の匂いをかぎ、患者の尿の横で腹這いになるよう指示された。

 最終的な試験は、7検体のうち1つのみが患者由来という条件で行われた。もし、イヌに特別の能力がないなら、患者の尿を選ぶ確率は7分の1(14%)になるはずだ。が、実際には計54回中22回の成功というものだった(確率41%)。

 多変量解析の結果は、癌特有の臭いを認識する能力は、尿検査で明らかになる科学的数値とは無関係であることを示唆した。また、乾燥尿を使って訓練し試験されたイヌの成功率は22%、新鮮な尿が用いられたイヌの成功率は50%だったことから、癌細胞由来の物質は揮発性と考えられた。

 筆者らは、この研究の目的は、イヌの能力の臨床的有用性の評価ではなく、あくまでも、イヌが尿の臭いで膀胱癌患者をかぎ分けられるかどうかの検証にあるという。

 論文のタイトルは、「Olfactory detection of human bladder cancer by dogs:proof of principle study」、現在全文がこちら(PDFファイル)で閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)

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