2004.09.21

急性心筋梗塞患者にはまず血栓溶解剤、その後のPTAで1年以内の再発や死亡が減少

 スペインの研究者らが行った臨床試験、GRACIA-1で、心筋梗塞患者に最新の血栓溶解剤を投与し24時間以内に経皮経管的血管形成術(PTA)を行うと、保存的薬物療法に比べ、1年目の治療成績が向上することが示された。詳細はLancet誌9月18日号に報告された。

 現行の治療ガイドラインは、出血頻度が高まるなどの理由から、血栓溶解剤投与から数時間以内のPTAを推奨していない。が、このガイドラインは、前世代の経皮的動脈形成術と血栓溶解剤を用いた臨床試験に基づいて作製されたものだ。近年、最新の血栓溶解剤の投与後にステントグラフト内挿術を行う試みが進んでおり、安全で再閉塞率も合併症も少ないことが示唆されている。

 GRACIA-1は、新しい血栓溶解剤とステントを用いてこの治療法を再評価するために設計された、無作為割付比較対照試験。対象は、スペインとポルトガルの医療センターに入院した、ST波上昇のある急性心筋梗塞患者500人。最初に血栓溶解剤として組換えt-PA製剤を投与、その後、保存的薬物療法またはPTAに割り付けた。6〜24時間以内にカテーテルが挿入された248人のうち、199人にステント内挿術が適用された。一方、252人に最先端の薬剤を用いた保存的療法が行われた。

 入院中は死亡率も再発率もほぼ同様だったが、退院後に再発して治療が必要となる患者は保存的療法の方が5倍も多く、入院日数も保存的療法の方が長かった。出血頻度は同様だった。1年間では、死亡率、再梗塞発生率、再治療の必要性がPTA群で有意に低かった。これらの結果は、血栓溶解剤投与後、早期にカテーテルを挿入しPTAを行う方法の安全性と有効性を示した。

 論文のタイトルは「Routine invasive strategy within 24 hours of thrombolysis versus ischaemia-guided conservation approach for acute
myocardial infarction with ST-segment elevation (GRACIA-1): a randomised controlled trail」、アブストラクトはこちらで閲覧できる(Lancetのサイトへの登録が必要です)。 (大西淳子、医学ジャーナリスト)

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