2004.09.21

クローン病患者の末梢血からMAPの分離培養に成功

 マイコバクテリウム・アビウム亜種パラツベルクローシス(MAP)は、反芻動物に慢性の腸炎を引き起こす細菌(ヨーネ菌)として知られる。1985年に、米国でクローン病患者の腸管からこの菌が分離されて以来、MAPとクローン病の関係を示すデータがいくつか得られている。しかし、MAPが病原なのか、それともクローン病患者の腸がこの菌の持続感染に適した環境にあるのかは明らかではない。今回、米国の研究者らが、クローン病患者の血液からMAPのDNAを検出、また培養によりMAPを分離することに成功し、詳細をLancet誌9月18日号に報告した。

 研究対象になったのは、クローン病患者28人、潰瘍性大腸炎患者9人、炎症性の腸疾患ではない人15人(大腸ガン2人、憩室炎1人、逆流性食道炎1人、健常人11人)。4mlX2本の末梢血を採取しバフィーコート分画を得、1本をPCR、もう1本は培養に用いた。

 PCRでMAPが検出されたのは、クローン病者で13人(45%)、炎症性大腸炎4人(45%)、炎症性腸疾患でない人3人(20%)だった。また、MAPの分離培
養に成功したのは、順番に14人(50%、うち当初PCRでMAPが検出されたのは11人)、2人(22%)、0人だった。免疫抑制作用のある薬剤の使用の有無と分離の可否は無関係だった。

 分離された11株のPCR産物の配列を調べたところ、9株はそれぞれ配列が異なっていた。

 筆者達は、MAPがクローン病の原因であるという仮説にエビデンスを加えたと述べている。MAP陽性だった潰瘍性大腸炎患者については、診断がつかないクローン病患者がいるのか、または、これら2疾患の発症における環境要因が同じである可能性があると説明している。

 添えられたコメントには、MAPを標的とする抗生剤の患者への投与は、まだ時期尚早と書かれている。

 論文のタイトルは「Culture of Mycobacterium avium subspecies paratuberculosis from the blood of patients with Crohn's disease」、アブストラクトはこちらで閲覧できる(Lancetのサイトへの登録が必要です)。(大西淳子、医学ジャーナリスト)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 診療拒否が違法か否かを判断する「3つの要素」 裁判官が語る医療訴訟の実像 FBシェア数:74
  2. 某球団の熱烈ファンを狙った医師採用戦略 裴 英洙の「今のままでいいんですか?」 FBシェア数:172
  3. 70歳代男性。検診の胸部X線 日経メディクイズ●胸部X線 FBシェア数:0
  4. ルーチンの読影手順 正常構造をまず確認 今さら聞けない画像診断のキホン FBシェア数:26
  5. OSA患者のCPAP使用は性生活の質を改善する JAMA Otolaryngol Head Neck Surg誌から FBシェア数:23
  6. 再発で引退も…オーバートレーニング症候群 あなたの知らないスポーツ内科の世界 FBシェア数:29
  7. エリートサラリーマンが子どもに私立医学部を勧める… 松原好之の「子どもを医学部に入れよう!」 FBシェア数:28
  8. 「オギノ式」を生んだ荻野久作夫妻の絆 病と歴史への招待 FBシェア数:6
  9. 主訴「僕、麻疹かもしれない」 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:100
  10. ティール組織から考える理想の組織って? 「医療」ってなんだっけ FBシェア数:13
医師と医学研究者におすすめの英文校正