2004.09.15

糖尿病性足潰瘍の新治療法、ウジを這わせて壊疽を清浄、足を切らずに治す

 糖尿病性足潰瘍に無菌ウジを這わせて、壊疽を清浄化する「無菌ウジ療法(Maggot Debridement Therapy;MDT)」が、今年3月国内で初めて岡山大学心臓血管外科の三井秀也氏によって行われた。これまでに5例が実施され、経過はいずれも良好だ。

 MDTは1930年代には100を超える論文に報告されていた伝統ある治療法。しかし、外科手術の発達や抗生物質の登場により次第に廃れていった。

 1990年になって抗生物質抵抗性の感染性潰瘍が見られるようになり、再び脚光を浴びることとなった。現在、オーストラリアやイギリスなどでは積極的に行われている。

 治療法はいたって簡単。無菌処理されたクロズキンバエの卵はオーストラリアから発送される。日本に着いた時点では2mmほどの幼虫になっており、これを1cm2当たり6〜10匹ほど潰瘍に置く。患部に置かれたウジは、壊死した潰瘍のみを食べながら、成長する。36時間後にはウジは1cmくらいまで成長している。ウジは蛹になる前に、1週間弱で取り除く。これを2週間で3回ほど繰り返すと、傷口が小さくなり、新しい肉芽組織が上がってくる。

 三井氏は、この治療法の利点として、副作用が見られず、禁忌症例もない、麻酔も必要としないことを挙げる。また、「ウジを這わせることでQOLを障害すると思われがちだが、足を切断しなくても済むことからむしろ向上する。患者からの評判もよい」と強調する。

 コストの面でもMDTが優れているという海外での報告もある。岡山大学病院では高度先進治療として校費から補助されているため、3回ほどの治療で100万円弱だったという。

 三井氏は「患者にも医師にもウジ虫=気持ち悪いというイメージがあるかもしれないが、MDTは画期的な治療法。今後は褥瘡や熱傷といった治療でも応用できるのではないか」と期待する。
(和田紀子、日経メディカル

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