2004.09.14

HSV-2感染を調べるスクリーニング検査はどのように行うべきか、倫理面からの検討

 性行為で感染する単純ヘルペス・ウイルス2型(HSV-2)は、感染しても多くの場合、無症候で、発症すれば再発を繰り返すことが多い。現在、感度、特異性共に95%を越える血清学的検査が市販されており、診断を助けている。が、スクリーニングの実施には問題が多い。スウェーデンの研究者らは、スクリーニング検査を行う場合の倫理的な利益と損失に関する考察をBritish Medical Journal9月11日号に発表した。

性行為でパートナーを感染させる可能性があり、完治は容易でないことから、米国では、SDTクリニックの外来患者へのスクリーニングの実施や、水平感染を避けるために妊婦に検査を課すことが提案されている。ただし、コスト効果や、心理社会的、精神性的な影響が懸念される。そこで研究者らは、特に問題が多い、無症候者対象のスクリーニングの倫理的側面について以下のように論じた。

 まず、自主性という観点から、検査を受けるかどうかを決める権利は本人にある。

 STDクリニックで全外来患者に検査を行った場合、陽性告知を受けた患者は不信感を持つだろう。有病率が上昇すれば、政府などが検査の実施と結果告知を指示するだろうが、集団には有益なこの行為も個人には損害を与えるはずだ。

 次に、病気に関する知識が十分にあり、感染の可能性を本人が懸念して検査を受けた場合、検査は正当と言える。が、この病気の理解は難しく、専門家との接点がない患者は不利だ。ハイリスク群では、情報を共有して感染を防ぐ戦略が有効だろう。情報と合意なしに検査しても、リスク群の生活様式は変わらず、利益は得られない。

 また、有病率が低い地域でのスクリーニングは、擬陽性率を高めて、その後の対処を難しくする。

 以上のように、検査実施に先立ち、個人および公衆衛生の両方のレベルで、スクリーニングの技術的、医学的、疫学的、心理社会的な利益と損失のバランスを熟考せねばならない。現時点では広範な検査は、特に北欧では不要で、他の国についても、米国で蓄積されたエビデンスに基づいて実施を急ぐ必要はない。

 論文のタイトルは「Ethics of screening for asymptomatic herpes virus type2 infection」、現在全文がこちら(PDFファイル)で閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)

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