2004.09.08

亀田 信介氏〔亀田総合病院院長〕

○がんセンター方式は、問題が多い。
○心不全や糖尿病がある高齢のがん患者の治療を総合医療として行える体制を築くべき。
○重粒子線治療など超高額医療について、財源と受益者負担に関するコンセンサス形成を。

●自由記述回答

 がん診療については、私は専門ではありませんが、幾つかの問題意識を持っております。先ず国立がんセンターを始め、各県に多くのがんセンターが整備されてきましたが、医療の質という点で考えると、がんセンターは大きな問題を抱えております。がんはそもそも老人に多い病気であり、老化現象の一つと考えても良いくらいのものもあります。従って今後高齢化が進めば、益々がんの罹患率、がんによる死亡が増えると思われます。

 一方高齢者は、多くの併存疾病を持つことが頻繁にあります。例えば、かなり重い心不全や、糖尿病などが存在した場合、これらのコントロールや治療が十分に行えなければ、手術まで持って行くことができないこともありますし、術後の重篤な合併症につながったり、またその治療も十分にできません。

 実際、国立がんセンターですら循環器の専門医や設備は極めて少なく、その分野の質は脆弱と言うほかありません。同様のことは子供病院や、成育センターにも当てはまります。何もすべ一つの医療機関でその機能を持つ必要は、必ずしもありませんが、足りない部分を補い合う、完全にシームレス(継ぎ目なし)にインテグレート(統合)したアライアンス(連携)システムが求められていると思います。もちろん、適切な距離感も重要な要素です。

 つまり、高齢化時代のがん治療は、あくまで総合医療の中の一分野として考える必要があります。

 次に重粒子線治療をはじめとした、超高額医療機器による、最先端治療をどうしていくかという問題です。これらの治療は現在の国民皆保険にはなじみません。しかし、確かに効果が期待できるがんはたくさん存在します。これらの治療をいかに平等に効率的に提供していくかが、今後ますます大きなテーマとなるでしょう。例えば、器機の機会損失を無くすために24時間稼働はもちろんですが、どの場所に、どの様な財源で設置し、受益者負担はどうするのかといったことを、いかに分かりやすく、国民が納得する形で決められるかということです。

 最後に繰り返しになりますが、がん診療を特別なものとして切り出すのではなく、総合医療の一貫として整備して行くことが、本当に質の高い、懐の深いがん治療につながると思います。

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