2004.09.01

軽度腎機能低下の2型糖尿病に対するARBとACE阻害薬の有用性は同等−−DETAILより

 欧州心臓病学会3日目にあたる8月31日、「HOTLINE & C LINICAL UPDATE Iセッション」において、腎機能が軽度低下した2型糖尿病例に対するアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)テルミサルタンとACE阻害薬エナラプリルの有用性比較したDETAIL(Diabetes Exposed to Telmisartan AndenalapriL)が報告された。結果は、腎保護作用が同等だっただけでなく、心血管系イベント発生も両群で同等だった。University of Birmingham(英国)のAnthony Barnett氏が報告した。

 対象となったのは、2型糖尿病を合併し、血清クレアチニン1.6mg/dL以下、GFR正常、血圧180/95mmHg未満の高血圧例。3カ月以上ACE阻害薬を服用していた250例が登録され、120例はテルミサルタン群、130例がエナラプリル群に無作為割り付けされ、5年間追跡された。テルミサルタン群は40mg/日、エナラプリル群は10mg/日より開始し、開始1カ月後に倍量への増量を試みた。両群とも18%に蛋白尿、82%に微量アルブミン尿が認められた。

 その結果、第一評価項目である「糸球体濾過率(GFR)の変化」は、テルミサルタン群「−17.9mL/分/1.73m2」、エナラプリル群「−14.8mL/分/1.73m2」で両群間に有意差はなかった。

 また血圧は、両群とも145/80mmHg前後までしか低下していなかったが(両群間に有意差なし)、末期腎不全移行、また血清クレアチニンが2倍化した例は、両群とも存在しなかったという(注:学会で提示されたスライドには末期腎不全が両群とも2例あったとされているが、Barnett氏が口頭で訂正した)。

 有害事象発現も、両群間に有意差はなかった。重篤な有害事象が認められたのはテルミサルタン群の49%、エナラプリル群の44%で、有害事象による脱落はそれぞれ17%と23%だった。「全例すでに3カ月以上ACE阻害薬を服用している患者だったので、ACE阻害薬への忍容性の高い集団が対象になっていた」ため、ACE阻害薬群の有害事象発現率が低かった可能性をBarnett氏は指摘している。

 本試験の結果、2型糖尿病例におけるテルミサルタンの腎保護作用はACE阻害薬と少なくとも同等と結論付けられた。また、Barnett氏らの計算によれば、テルミサルタン群における年間GFR低下率は3.7mL/分/1.73m2、エナラプリルは3.2mL/分/1.73m2だった。同氏は記者会見に
おいて「軽度腎機能低下を認める2型糖尿病例に対してはACE阻害薬、ARBのいずれもが第一選択薬になりうる」と述べている。

 テルミサルタンの腎保護作用を検討した本試験だが、結果としては、2型糖尿病例における腎保護作用の明確なエビデンスが存在しなかったACE阻害薬の有用性が明らかにされた点が注目される。
(宇津貴史、医学レポーター)

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