2004.08.31

【脳卒中診療の将来に関するアンケート調査】No.5 自由意見から、「脳卒中では特に日本人でのエビデンスが必要」

 引き続き、MedWaveが6月に実施した「脳卒中診療の将来に関するアンケート調査」の結果を報告する。調査は、世界脳卒中会議の速報サイトを開設したのに伴い実施した。6月23日から7月7日までに202人が調査に協した。本日は、自由意見欄から主なものを紹介する。その中で、一般診療に携わる医師や看護師のみならず、患者やその家族、あるいは一般市民にも脳卒中の啓蒙が必要との指摘が目立った。また、急性期診療から在宅医療までの地域完結型の医療システムを求める声や保険診療の一層の充実を望む意見も少なくなかった。診療面では、「日本人は欧米に比べ脳血管系の疾患が多い」ことに言及、「脳卒中では特に日本人でのエビデンスが必要」との指摘が目を引いた(皆さんのご意見をお待ちしております。メールタイトルに「脳卒中診療アンケートを見て」とお書きいただけると助かります。あて先は medwave@nikkeibp.co.jp です)。

◆症状が固まった後のリハビリや社会生活について、急性期病院の医師の中でよく理解していない者が見受けられる。無知により寝たきりや社会復帰困難例が作られてはならない。(35〜39歳、その他、内科)

◆適正な高血圧治療、動脈硬化予防、抗凝固療法の重要性に対する医師、患者、一般市民の理解が重要。(45〜49歳、大学病院勤務、内科)

◆欧米と日本との治療の開きをなんとか是正する必要があるのでは・・・。(40〜44歳、大学病院勤務、内科)

◆2次医療圏の中で初期治療からリハビリテーション、在宅医療まで一貫して行う地域完結型の医療システムが必要と思います。(40〜44歳、大学病院勤務、内科)

◆日本人は欧米に比べ脳血管系の疾患が多い。海外の臨床試験では心血管系のイベントを見たものが多いため、日本人では当てはまらない可能性がある。そのためにも脳卒中では特に日本人でのエビデンスが必要と思われる。(30〜34歳、大学病院勤務、内科)

◆救急隊などとの連携で、発症早期よりの病着というのが非常に重要となってくるのでは。ドクターヘリを活用してる日本医大北総病院の救急と連携した同病院の脳外科の体性などは今後注目を集めるのではないでしょうか。(29歳以下、大学病院勤務、内科)

◆高次脳機能障害に対する医療関係者、家族、そして、行政サイドおよび一般の人の理解が必要。(50〜54歳、一般病院勤務、内科)

◆急性期治療としての、血栓溶解療法。TPAの使用に対するガイドラインと保険適応の問題。(50〜54歳、一般病院勤務、内科)

◆心原性脳梗塞における、TPAの使用が課題。(50〜54歳、一般病院勤務、内科)

◆今までは急性期の治療にあまりにも力が注がれていて、リハビリテーションを含めた慢性期の対応については疎かすぎました。特に外科系の医師は、2、3カ月を過ぎれば後は内科に任せて知らん顔というのが多過ぎたように思います。特に高齢者のリハビリテーションは費用の問題も絡んで、3カ月目以降が一番の問題となります。医学界のみならず社会全体で考えていかなければならない問題と考えます。(50〜54歳、一般病院勤務、内科)

◆当たり前のことが実施されていない事例がまだまだ多い。(45〜49歳、一般病院勤務、内科)

◆国家的事業として強く位置付け、診療・研究・医師教育すべきと考えます。がん、高血圧、糖尿病も同様に考えます。(45〜49歳、一般病院勤務、内科)

◆製薬会社の介入を除去した純粋なエビデンスが知りたい。(45〜49歳、一般病院勤務、内科)

◆今後、超急性期の医療体制の確立が必要になってくると思います。(45〜49歳、一般病院勤務、内科)

◆わが国は欧米に比して脳卒中患者の頻度が多いことは周知のことであり、その現状を踏まえて我が国独自のEBMを作成すべく、精度の高い臨床試験を実施していくことが急務であると思う。(45〜49歳、一般病院勤務、内科)

◆とにかく、いつでも脳CTのとれない当院などでは、患者家族の意見や看護師の観察力を真摯にとらえて、診察し、脳疾患が疑われれば、早めにグリセオール、オサグレルなどの早期予防治療に進むべきだと思う。(45〜49歳、一般病院勤務、内科)

◆ガイドラインは指標になるが、それに沿っていないとおかしいとまで言われてしまう時代が来るかも。医師の裁量権はどうなるのか、危惧される。(45〜49歳、一般病院勤務、内科)

◆MRIがCTのように手軽に短時間で使え、しかも保険点数が低ければ強力な武器となると思われる。小脳梗塞を疑うときなど、強く感じることだ。(45〜49歳、一般病院勤務、内科)

◆早期血栓溶解薬投与による麻痺の改善、麻痺が残らないようにするエビデンスを作成し、その後の治療を含めたコストパホーマンスの差を出してほしい。(35〜39歳、一般病院勤務、内科)

◆患者や、脳卒中に精通していない医師への情報提供が必要。(35〜39歳、一般病院勤務、内科)

◆リハビリのタイミングや、専門知識を持つ医師やPTの不足。(35〜39歳、一般病院勤務、内科)

◆入院中はリハビリに熱心ですが、転院先が老人病院クラスに結果としてなってしまうことが多く(家族の受け入れが不可のとき)、結局後日再入院する際、完麻痺や拘縮になってしまうケースが内科に渡されるのが日常です、仕方ないのでしょうが・・・。また、後遺症としての再入院で、特に嚥下性肺炎など、もう神経内科でないと内科に丸投げとなり、かつ再入院中の神経内科的問題についてもなかなか診にきてくれない。一個人、人間を通して診るという立場からは、こうしたケースの方が当たり前に近い現状は、急性期ばかり熱心に行っても専門化の自己満足にしか見えないというのが、一般内科の多くの医師の共通した意見(愚痴?)であります。(45〜49歳、診療所勤務、内科)

◆TPAを使えるようにすべき(45〜49歳、診療所勤務、内科)

◆低体温療法。卒中初期のカフェイン、アルコール投与に非常に注目しています。(35〜39歳、診療所勤務、内科)

◆高齢化とともに,脳卒中も増加していきます。新しい治療法の開発を期待します。(60歳以上、診療所開業、内科)

◆地域ごとに、基幹病院となるところで、stroke unitを設置し、速やかに脳疾患の評価をし、出来るだけ後遺症を残さないような診療体系を作れればと考えます。これには、行政の力も必要と考えます。急性期診断・外科的治療あるいはインターベンション・内科的治療・リハビリテーション・在宅療養体制(訪問看護・訪問介護)の時間的空間的整備が必要と考えます。(45〜49歳、診療所開業、内科)

◆予防的な投薬についての基準がほしい(45〜49歳、診療所開業、内科)

◆日本人は、脳卒中の予防をすべき。そのためにはARBも有効と考える。(40〜44歳、診療所開業、内科)

◆以前はPTCAなどを主に地方大学病院で勤務しておりました。現在開業医です。急性心筋梗塞には分刻みでPTCAを行うようなシステムが導入されて何もしないで寝かせておく先生が減りましたが、脳卒中(特に梗塞)はそんなシステムは当時からなかったと記憶しています。現在はどうなのでしょうか。アルガトロバンを点滴して寝かせておくしかないのでしょうか。(40〜44歳、診療所開業、内科)

◆さらに有用性の高い脳卒中二次予防の治療法が必要と考えます。(40〜44歳、診療所開業、内科)

◆非侵襲的な検査、開業医でもできる方法で脳卒中の検索をできることなどを開発してほしい。(40〜44歳、診療所開業、整形外科)

◆ターミナルの状況に陥ったあと意識もないまま、生命維持装置を装着して何カ月も其のまま状態であるのはかえって残酷であり、何らかのコンセンサスを得てガイドラインを作って欲しい。(60歳以上、一般病院勤務、整形外科)

◆初期の病変の描出にMRIが優れているのであれば、救急医療でもっと使用したい(できる環境整備が必要である)。救急医療に携わる医師(当直を含めて)にMRの方から積極的にアプローチしてほしい。一見内科や脳神経外科の医師のみに情報が流されている。もっと他の当直を実際している医師に情報を伝える努力をしてほしい。(35〜39歳、一般病院勤務、産婦人科)

◆外来や病棟ではいつも診療していて、特に今後の在宅や病院での受け入れ先や体制作りに頭を悩ませます。(35〜39歳、一般病院勤務、産婦人科)

◆脳卒中加療後、リハビリに移行する際の連携がうまく取れていない病院が時々みられる。(50〜54歳、診療所開業、外科)

◆摂食嚥下機能の早期リハについてもっと積極的に行っていかなければならないと思っています。(35〜39歳、診療所勤務、リハビリ科)

◆脳卒中診療に限らないのかもしれないが、急性期治療からリハビリテーション、そして在宅などでの維持期の治療まで、十分な治療を行うためには医師をはじめとする医療スタッフの負担は大きい。しかし人的にも経済的にもそれに見合うだけの医療コストが保証されておらず、真剣な治療を行おうとするほど、犠牲を強いられることが多いのが残念である。(50〜54歳、一般病院勤務、リハビリ科)

◆回復期リハビリテーション病棟の専従医です。晩発性痙攣に対する抗てんかん薬の適応について問題を感じています。てんかん発作を起こす可能性の比較的低い回復期に抗てんかん薬を使用していると、適正とされる血中濃度であっても意識レベルや高次脳機能あるいは体幹機能に対する悪影響のために、患者の回復が阻害されます。しかも、そのような副作用は脳卒中そのものの症状(後遺症)と誤解されやすいので、気付かれないままに「前の脳外科医の処方だから」「血中濃度が治療域だから」と言って漫然と投与が続けられるのです。また、たとえ晩発性痙攣が起こったとしてもその全員に抗てんかん薬が必要とは限りません。痙攣発作が起こらないことは自己目的ではなく患者のQOL向上に資するかどうかが問題だからです。(45〜49歳、一般病院勤務、リハビリ科)

◆t-PAの保険適応、病院の機能分化と脳卒中診療のあり方(どこまで機能分化が可能か)急性期病院におけるリハ体制の弱化がもたらす弊害(いったん「落としてから」回復期リハ病棟で「回復」させる不合理さ)などが問題である。(45〜49歳、一般病院勤務、リハビリ科)

◆急性期、回復期のリハビリテーションの質と量の問題が大きいと考えている。回復期リハビリテーション病棟は十分機能しているのかどうか、また現在の保険制度では十分なリハビリテーションが提供できないことに不安を抱いている。(45〜49歳、一般病院勤務、リハビリ科)

◆脳出血に関するエビデンスがほしい。(60歳以上、大学病院勤務、その他の科)

◆救命救急センターで、急性期stroke careを中心とした診療をしてきましたが、いまだに救急隊の選定に誤りがあり、golden timeを失している場合が少なくないため、救急隊、指令センターとの対話が重要と考えます。(40〜44歳、大学病院勤務、その他の科)

◆脳卒中診療、医療、介護には人件費がかかるため費用がかかることをマスコミも理解し啓蒙して欲しい。(50〜54歳、一般病院勤務、その他の科)

◆とにかく予防が大事。予防に保険適応をしてほしい。(45〜49歳、一般病院勤務、その他の科)

◆くも膜下出血、閉塞性脳血管障害等に対する血管内治療の進歩に注目している。(45〜49歳、一般病院勤務、その他の科)

◆現状では、治療しても残った障害は良くならない。再生医療には可能性があるが、現状では予防が最も良いと思う。一般市民や医師に予防を心がけるよう啓発するのが最も効果的だと考える。(40〜44歳、一般病院勤務、その他の科)

◆頚動脈Stent治療、血栓溶解療法など明らかに内科的治療より好成績を上げている治療法があるが、国内では厚生労働省の承認を得られていない。Stentに関しては循環器領域では比較的早期に承認されるが、頭頚部領域ではStent以外のdeviceに関しても承認が遅すぎる。これでは助かる患者も助からない。保険の高騰が問題であれば早急に混合診療も認めるべきと思われる。患者が希望する治療を享受できるようにするべきと思われる。(40〜44歳、一般病院勤務、その他の科)

◆脳卒中を診れない脳神経外科医はいないと思う。そもそも脳卒中学会による脳卒中専門医は無意味に思う。(35〜39歳、一般病院勤務、その他の科)

(まとめ;三和護)

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