2004.08.30

安定狭心症におけるCa拮抗薬追加の安全性は確認、ACTIONの結果から

 8月29日、欧州心臓病学会のHOTLINE Iセッションにおいて、安定挟心症における1日1回型Ca拮抗薬ニフェジピンとプラセボを比較したACTION(A Coronary Disease Trial Investigating Outcome with Nifedipine GITS)の結果が発表された。英国Philip A. Poole-Wilson氏が報告した。一次評価項目の発生率がCa拮抗薬群で減少するという仮説は証明されなかったが、かつてメタ解析で指摘された生存・心血管系予後の増悪も認められず、長時間作用型ニフェジピンの安全性が確認された形となった。

 ACTIONでは、すでに標準的治療を受けているが症状が緩解しない安定挟心症7665例を対象とした。3825例が1日1回型ニフェジピン(ニフェジピンGITS)群、3840例がプラセボ群に無作為化された。全体の8割はβ遮断薬を服用していた。心機能低下例(EF≦40%)は除外されている。

 有用性の一次評価項目は「主要心血管系イベント」。内訳は「死亡、心筋梗塞、挟心症再発、心不全発症、脳卒中、または末梢動脈血行再建術」だった。

 Intention-to-treat解析の結果、平均4.9年の追跡期間中「主要心血管系イベント」の発生率は、ニフェジピン群とプラセボ群で同等だった(相対リスク:0.97 vs プラセボ、95%信頼区間:0.88〜1.07、p=0.54)。

 年齢、性別や心機能、ACE阻害薬とβ遮断薬服用の有無などのサブグループ別で解析しても、ニフェジピン群で主要心血管系イベントが有意に減少していたグループはなかった。ただし、心筋梗塞既往例においてもニフェジピン群における一次評価項目の有意な増加が認められなかった点は注目される。Ca拮抗薬は心筋梗塞後の予後を増悪させるとのエビデンスが支配的だったためだ。

 一方、試験開始時高血圧(140/90mmHg以上)だったサブグループでは、ニフェジピン群で主要心血管系イベントの有意な減少が認められた。本試験における試験開始時平均血圧はおよそ137/80mHgだったが半数強は高血圧を呈し、ニフェジピン群の血圧はではプラセボ群に比べ全体で6/3mmHg低かった。

 一次評価項目に「冠動脈造影(CAG)・冠血行再建術」を加えて評価すると、ニフェジピン群で有意な減少(相対リスク:0.89、95%信頼区間:0.83〜0.95、p=0.0012)を認めたが、主としてCAG施行減少を反映した結果だという。また、心不全発症もニフェジピン群で「驚いたことに」(Poole-Wilson氏)有意に減少していた(相対リスク:0.71、95%信頼区間:0.54〜0.94、p=0.015)。

 安全性の一次評価項目である「死亡、心筋梗塞、または脳卒中」もニフェジピン群とプラセボ群で発生率は同等だったため、Poole-Wilson氏は「安定挟心症に対するニフェジピンGITSは、1.主要心血管系イベントを減少させないが、2.安全である」と結論付けた。

 本試験のスライドセットは、こちらからダウンロードできる。
(宇津貴史 医学レポーター)

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