2004.08.26

3合以上の飲酒で重症睡眠時呼吸障害リスク3倍に、初の一般住民対象研究で判明

 日本で実施された一般住民対象の横断研究で、飲酒量が多いほど睡眠時呼吸障害の相対リスクが高く、特に日本酒3合相当以上の飲酒者では、経鼻的持続陽圧呼吸(CPAP)が必要な重症睡眠時呼吸障害のリスクが非飲酒者の3倍以上と顕著に高いことが分かった。逆に言えば、睡眠時呼吸障害が発見された場合、節酒によって症状が改善する可能性が明らかになったわけで、治療面でも注目に値する。飲酒と睡眠時呼吸障害の関連性を指摘した大規模疫学研究報告は世界的にも初めて。筑波大学大学院人間総合科学研究科の谷川武氏らの研究で、研究結果は米医師会誌Journal of American Medical Association誌2004年8月25日号にResearch Letterとして掲載された。

 谷川氏らの研究グループは、2000年から2003年にかけて大阪府八尾市高安町南、茨城県協和町、秋田県井川町の3市町村で基本健康診断を受診した40〜69歳の男性1741人のうち、参加の同意を得た1517人を対象とした。パルスオキシメータを用い、睡眠中に3%以上酸素飽和度が低下した1時間当たりの回数(ODI)を測定した。

 その結果、非飲酒者に対する睡眠時呼吸障害の相対リスクは、飲酒量が多い場合は有意に高く、しかも睡眠時呼吸障害の重症度と飲酒の関連性が顕著に見られた。エチルアルコール摂取量が1日に体重当たり1.0gを超えるとODIが15回以上(AHI指数が20以上に相当)の相対リスクは3.08倍と有意に高かった。体重当たり1.0gのエチルアルコールは体重70kgの男性の場合、日本酒3合に相当する。

 これを肥満度別に比較すると、調査対象者の中央値であるBMIが23.9以下では、睡眠時呼吸障害と飲酒量の増加傾向に有意な関連性が見られたが、23.9以上では飲酒量の増加傾向と、個々の飲酒量のいずれについても有意な関連性は見られなかった。これについて谷川氏は、「睡眠時呼吸障害では肥満の影響が強く、アルコール摂取との関連性をマスクしてしまった可能性がある」としている。

 飲酒と睡眠時呼吸障害の関連性に加えて、本研究によって、一般住民を対象とした睡眠時呼吸障害のスクリーニングで軽度以上(ODI5回以上)の者が全体の40.4%、中等度以上(ODI15回以上)の者が同じく9.0%も発見されたことは興味深い。今後、交通安全や産業衛生などの側面からも、潜在患者の発見・治療が大きな課題になりそうだ。

 本論文の原題は、「Usual Alcohol Consumption and Arterial Oxygen Desaturation During Sleep」。冒頭の150語のみ こちらから無料で閲読できる。(中沢真也)

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