2004.07.27

【日本小児神経学会から】 ある小児科診療所の実践、「こども相談室」が振り分け機能で成果

 小児科診療所が実践できる機能として、相談事の振り分け機能が有用であることが報告された。東京都三鷹市にある「あきやま子どもクリニック」は、地域の保健センターや療育センター、家庭支援センターなどから医学的・心理学的な支援を要請されることが多いため、2003年4月に「こども相談室」を開設。これまでに79人の利用者があったという。その経過および転帰をみると、ほかの機関へ紹介できた事例が30件に上るなど成果が上がっていた。日本小児神経学会で7月16日発表した。

 「こども相談室」は、小児科医師1人、心理士3人(常勤1人、非常勤2人、うち1人は精神保健福祉士)の体制で運営している。予約制で、料金は保険診療部分のみでの対応。

 実際の相談は大まかに次のような流れになる。1.相談を受け付けた後、医師が診察し主訴や病歴、理学的・神経学的所見などから問題点を整理する、2.心理士に心理検査とカウンセリングを依頼し、その結果から今後の方針を検討する、3.必要に応じて医師から保護者に療育や心理学的指導の必要性を説明、関連する社会資源に関する情報提供を行う、4.保護者の同意を得て、関係機関との連携を図り、それぞれの利用者に応じて個別の支援を開始する。

 2004年6月末までに79人(のべ197人)の利用があり、男児が60人、女児が18人だった。年齢別では、3歳未満が10人、3歳以上6歳未満が23人、6歳以上10歳未満が28人、10歳以上が17人だった。3歳前後と7歳前後が少なくないことから、院長の秋山千枝子氏らは、「発達相談のニーズが高まる時期」と推察している。

 主訴は、「身体の痛みや不調」が26人、「学校に関連した相談(不登校や進路指導なども)」が12人、「話しことばの相談(吃音など)」が11人、「子どもへの対応について助言がほしい」が10人などだった(重複あり)。

 診断の結果は、他の広汎性発達障害またはAsperger障害が15例、注意欠陥・多動障害12例、不登校8例、学習障害6例、チック障害6例、精神発達遅延、精神遅滞が6例、自閉性障害5例などだった(重複あり)。

 経過・転帰は、ほかの機関へ紹介できた事例が30件で、内訳は病院へ紹介が11例、ことば教室などの学校への紹介が8例、通園療育施設への紹介が5例などだった。

 また、必要に応じて再利用を勧めた事例16件、具体的な解決策の提案などにより支援を終結できた事例15件で、ほかに、相談室の継続利用中が8例あった。

 相談の中断、未受診も10例あったが、そのほとんどは発達検査や心理検査の実施を説明した後に、検査に踏み切れずに中断となる事例が目立つ。また、思春期の子どもが不登校だった場合などは、母親が相談に訪れることがあるが、本人と連れ立って相談に訪れることができなかった事例も少なくないという。
 
 これらの結果を踏まえ秋山氏は、「小児科診療所が相談窓口を持つことは、地域にとっても大きな意義があると実感している。今後は、相談を待つという受身の体制だけでなく、訪問相談に応じるなどの積極的な対応が必要になるだろう」などと話している。

 課題としては採算性の問題が残るが、たとえば「学校などの公的機関から担当者が来室する場合には公務として認められるよう、行政にも働きかけていくべき」(秋山氏)と指摘している。

 声高に少子化対策が叫ばれる中、こうした一診療所の試みを持続的に普及させていくためにも、国や自治体などの支援は欠かせないに違いない。
(三和護)

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