2004.07.23

【電子カルテメーカー、シーエスアイの江上秀俊氏に聞く】  今後は二次利用機能を強化、「使ってよかった」製品目指す

 北海道循環器病院(札幌市中央区、95床)や町立軽井沢病院(長野県軽井沢町、103床)など、中小規模の病院に約100件程度の電子カルテ導入実績を持つシーエスアイ(札幌市中央区)社長の江上秀俊氏(写真)に、同社製品の特徴や今後の目標を聞いた。

――電子カルテ開発の経緯を教えてください。

江上 シーエスアイはもともと、受託のシステム開発やサポートを主に行う企業でした。私が、ある国立病院でプロジェクトリーダーとして他社製の病院システムの導入を行った際、その病院側の担当だった外科医より、「どうも大手メーカーが作ったパッケージソフトウエアは技術志向のシステムで医師には使いにくい」という不満がでました。

 それまで我が社は受託業務を中心としてきたのですが、パッケージ製品を手がけたいと思っていたこと、その先生から、「もし医師が使いやすいシステムを作る気があるのならば、手伝うよ」と声をかけていただいたこと、電子カルテ市場がまだ固まっておらず、参入の余地があることから、6年前に電子カルテ市場に参入することにしました。

 先生には2年間程社員として契約し、電子カルテの設計をお願いしました。

――シーエスアイ製品の強みは。

江上 現役の医師が考え、医療の現場に即した形で設計したことでしょう。このことにより、他社と一味違うソフトに仕上がっていると考えています。

 もちろん他社も改善してきてはいるのですが、それでも今でも一歩先んじていると自負しています。医師が作ったことが最もよく現れているのが、その操作性でしょう。ボタンの配置や色の使い方など、医師がマニュアルなしで直感的に操作ができるという設計にしています。

――中小病院向けのパッケージで参入したのはなぜでしょうか。

江上 厚生労働省は、電子カルテの普及の次の段階として、医療機関のネットワーク化を考えています。そのため、まず病診連携の核となる医療機関向けにソフトを提供しシェアを確保した方が、その後のネットワーク化で、中核病院を取り巻く診療所をまとめて展開できる有利さと効率を考えたためです。

 ただ、中小病院は経営的に厳しいところが多い。これまでは厚生労働省からの補助金が市場を後押ししていたのですが、昨年度は補助金が出なかったために、「導入意欲はあるものの、導入時期は考えたい」という声が多かったのも確かです。予算が許さない医療機関のために、少し運用は煩雑になってしまいますが、検査・薬剤などオーダー別に小さく区切って段階導入するような方法も提供しています。

 現状、電子カルテの普及が遅れているとは言われますが、患者の目にとまる程度には普及が始まりました。患者のイメージとして、電子カルテを導入している病院の方が医療の質が担保されているように感じられてきています。病院がより多くの患者に来院してもらうためにも、電子カルテの導入を検討し始めています。7月1日には、診療所や中小病院の医事会計システムに強い三洋電機との提携を発表しました。三洋電機の持つ営業力に期待すると同時に、これまでの三洋電機が持っている2000件程度の医事会計システムのユーザーに対して導入が進むことを期待しています。

 いずれにしても、国から補助金などでの後押しを期待したいですね。今期、シーエスアイで取り扱った電子カルテの案件件数は伸びており、件数だけで見れば開発当初の計画以上に推移しています。ただ、補助金がなかったために案件が小さくなったために、売上では苦労しています。

――電子カルテ普及の阻害要因として、価格、セキュリティ、医師のパソコンへの抵抗感が挙げられます。

江上 価格に関しては、「ベストチョイスソリューション」として標準モデルを各種用意し、このモデルを活用することにより、カスタマイズのコスト、導入サポートのコスト等が従来に比べて2〜3割程度削減され安価で提供しています。このモデルでは、カスタマイズをしないといっても、インタフェースの変更など、パラメータ設定だけで対応できるものは価格内で対応します。

 また、セキュリティに関しては、今後国が明確な基準を出すと考えられます。どこまでセキュリティを強化するかは厚生労働省の指針に従い、自社ではなくセキュリティ専業の他社と連携することで対応していきたいと考えています。

 医師のパソコンに対する抵抗感が、医療機関によっては導入の大きな阻害要因になっていると認識しています。特に年配の先生方にはどうしても抵抗があります。音声やペンでの入力もありますが、現場で使うことを考えるとどうしても不満を持ちながらでもキーボードでの入力が現実的です。そのため、不満を持ちながらでも利用したくなるよう、「医師が電子カルテを導入することによる付加価値」を広めて行きたいと考えています。経営分析、医療の質の向上に貢献する各種ツールを提供し、苦労して入力したデータが「どのように役に立つか」を示すことで、「利用すればその見返りがある」と感じていただければと思っています。現在もある程度の機能は備えていますが、今後は医療機関からのフィードバックを受けながら、電子カルテの標準機能の一部として取り込んでいきたいと考えています。これまでは電子カルテを使いやすくすることが最優先事項でしたが、今後は、このような二次的データ利用の開発に力を入れていきたいと思います。   
(聞き手:山崎大作、日経メディカル

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