2004.07.12

赤ちゃんにビタミン剤をのませると、黒人の子供はぜん息になりやすい−−米国の大規模調査が示唆

 赤ちゃんのころからビタミン剤をのませる家庭が多い米国で、気がかりなデータが発表された。生後6カ月までにマルチビタミン剤をのみ始めていた黒人の子供に、ぜん息が多いというもの。ただし、黒人以外の子供のマルチビタミン摂取とぜん息発症の関係はなかった。これは1988〜1991年に、約8000人の子供に対して行った調査の再解析結果。米国小児科学会が発行する学術誌『Pediatrics』誌7月号に掲載された。

 調査では、1988年に生まれ、1991年に3歳になった子供8285人の親に、子供の健康状態や、乳児期にマルチビタミン剤を与えたかなどを尋ねた。

 その結果、全体の32%が生後3カ月までに、41%が生後6カ月までに乳幼児マルチビタミン剤をのみ、3歳時点では42%がマルチビタミン剤をのんでいた。

 ちなみに米国では、赤ちゃん向けに液状のマルチビタミン剤が薬局などで普通に売られている。子供向けには、噛(か)んで食べるチュアブルタイプのマルチビタミン剤があり、多くの家庭で利用されている。

 3歳時にぜん息と診断された子供は、全体の10.5%。早産や黒人、喫煙者がいる家庭の子供にぜん息が多い傾向があった。研究グループは、そうした要素でデータを補正し、人種別に解析を行った。

 すると、黒人(全体のほぼ半数)の子供の場合、生後6カ月までにマルチビタミン剤をのみ始めていると、3歳時点でぜん息になる確率が27%高いことがわかった。

 一方、黒人以外(ほとんどが白人)の子供の場合、マルチビタミン剤とぜん息発症率との間には関連がなかった。

赤ちゃんではビタミンAやDがアレルギーを増やす?

 どうしてマルチビタミンを、生後6カ月までにのみ始めた黒人の子供にぜん息が多いのか――。研究をとりまとめた米国国立小児医療センターのJoshua D. Milner氏らは、こんな「アレルギー仮説」を紹介している。

 赤ちゃんは免疫系が未発達で、体内では生後6カ月ごろまで「有害な異物」を判断するトレーニングが行われる。その時期にある種のビタミンをとると、ぜん息などのアレルギー性の病気になりやすくなる可能性があるという。

 細胞を使った実験では、ビタミンB6やE、Cがあると、免疫系の指揮をとる「ヘルパーT細胞」のうち「Th1細胞」が増える。逆に、ビタミンDやAでは、「Th2細胞」が増えるという。

 アレルギー性の病気は、Th2細胞側にヘルパーT細胞のバランスが偏っているときに起こりやすくなる。つまり、Milner氏らの仮説に従えば、ビタミンDやAを乳児期にとり過ぎると、アレルギー性の病気になりやすくなるということになる。

 もっとも、今回の解析でぜん息との関係があったのは黒人の子供だけ。どうして人種による違いが現れるのか、ビタミンD強化ミルクなど「マルチビタミン剤以外のビタミン」の影響などについては、分析されていない。

 こうした限界はあるが、今後、免疫系という観点からも、乳幼児へのビタミン投与の可否に注目が集まりそうだ。

 この論文のタイトルは、「Early Infant Multivitamin Supplementation Is Associated With Increased Risk for Food Allergy and Asthma」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

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