2004.07.09

クロルタリドンと他のサイアザイド系利尿薬の心血管系イベント抑制作用は同等

 米国高血圧ガイドライン(JNC 7)は、特定の合併症を持たない高血圧に対して、「たいていの場合、利尿薬が第一選択」として多くの議論を呼んだ。そのh一つは「クロルタリドンで得られたデータを他の降圧利尿薬に当てはめられるのか」というものだ。JNC 7にはALLHATの結果が大きく反映されているが、ALLHATで有用性が明らかになったのはクロルタリドンであり、他の降圧利尿薬は検討されていない。

 米国医師会雑誌のJournal of American Medical Association(JAMA)2004年7月7日号には、米Washington大学のBruce M. Psaty氏と米Wake Forest大学のKurt Furberg氏がResearch Letterとして報告した「クロルタリドン対他の降圧利尿薬」のメタ解析が掲載されている。基本的に有用性は同等だということだ。

 両氏は、心血管イベント抑制作用を検討した5試験(計1万5086症例)のうち、クロルタリドンを対象としたSHEPなど2試験(3報告)と、クロルタリドン以外の低用量利尿薬を対象としたEWPHEなど3試験について、それぞれ対照群に対する相対リスクを求めた。次に、この2つの相対リスクの比を計算して、クロルタリドン群と他の低用量利尿薬群の比較を試みた。

 その結果、両群の相対リスクの比は、冠動脈イベントが1.03(95%信頼区間:0.71〜1.48)、脳卒中が0.90(0.70〜1.17)、心血管系イベントが0.92(0.76〜1.11)、心血管系死亡が1.01(0.74〜1.39)、総死亡が0.98(0.79〜1.21)−−で、いずれも有意差はなかった。

 本研究はALLHATに向けられた疑問の一つに答えるものだ。ALLHAT研究者らはALLHATに向けられた多くの疑問に回答するサブ解析を随時学会発表しており(多くは文献になっていない)、利尿薬による心不全抑制効果がCa拮抗薬やACE阻害薬より優れているのはほぼ確実となっている。

 本研究の原題は、「Meta-analysis of Health Outcomes of Chlorthalidone-Based vs Nonchlorthalidone-Based Low-Dose Diuretic Therapies」。アブストラクトはないが、冒頭部分はこちらで閲覧することができる。
(宇津貴史、医学レポーター)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 息子が中学受験、それでも地方に転職した医師の決断 医師ヘッドハンティングの舞台裏 FBシェア数:6
  2. 近所で有名な「怖い看護師さん」の処遇に悩む 榊原陽子のクリニック覆面調査ルポ FBシェア数:1
  3. 娘のかかりつけ医選びで知った最近の小児科事情 記者の眼 FBシェア数:93
  4. 医師国試の合格率は88.7%、大学別合格率は? 8533人の新医師が誕生、合格率は90%を切る FBシェア数:1788
  5. これで確定申告できるの? 頼りない税理士に怒り 開業の落とし穴 FBシェア数:2
  6. 梅毒かも、結果が出るまではエッチ厳禁で 井戸田一朗の「性的マイノリティの診療日誌」 FBシェア数:49
  7. 臨床研究法が臨床研究を撲滅する 池田正行の「氾濫する思考停止のワナ」 FBシェア数:9
  8. その免疫療法、本当に推奨できますか? トレンド◎あらゆる癌免疫療法に言及した日本初のガイドライン発行 FBシェア数:407
  9. 患者の同意なく雇用先に診療情報漏示は違法 判例に学ぶ 医療トラブル回避術 FBシェア数:1
  10. はしかを診たこと、ありますか? わかる!院内感染対策 FBシェア数:84