2004.07.08

血清アルドステロン濃度は本態性高血圧発症の予知因子か

 New England Journal of Medicine2004年7月1日号に「正常血圧者の血清アルドステロン高値は高血圧発症のリスク」とする観察研究が掲載された。米国Framingham研究グループのRamachandran S. Vasan氏らによる研究だ。しかし同誌編集者のRobert G. Dluhy氏(米国Harvard Medical School)と米Brinham and Women's Hospital(米国)のGordon H. Williams氏はこの結論に疑義を呈している。

 Vasan氏らの研究はFramingham Offspring研究のコホートを用いた前向き観察研究で、開始時に高血圧を認めない1688例(平均55歳)を約4年間追跡し、開始時の血清アルドステロン濃度とその後の血圧の関係を検討した。

 追跡期間中、250例(14.8%)が高血圧(140/90mmHg以上)を発症した。追跡開始時のアルドステロン濃度(臥位)と高血圧発症の関係を検討するため、まず、アルドステロン濃度の4分位数で4群に分けて比較したところ、アルドステロン濃度が高い群ほど、高血圧発症の割合が増加する傾向が見られた。追跡開始時の血圧は4群とも120/73mmHg前後で同等だった。

 次に多変量解析を行い、アルドステロン濃度と高血圧発症リスクの関連性を見た。多変量解析では、年齢、性別、追跡開始時血圧、BMI、体重増加、糖尿病、喫煙状態を補正した。その結果、追跡開始時のアルドステロン濃度の対数値が1標準偏差増加すると、高血圧発症リスクが1.20(95%信頼区間:1.03〜1.41、p=0.023)有意に増加していた。

 また、補正後、上記4群で比較すると、アルドステロン濃度最高群では最低群の1.61(1.05〜2.46、p=0.03)という有意な高値を示した。さらに高値群へ移行するに従い高血圧を発症するリスクは1.16(1.02〜1.34、p=0.03)増加していた。各群の平均アルドステロン濃度は、低い群から順に、5.6、8.5、11.2、19.1ng/dLである。

 一方、食塩摂取による血圧上昇の影響を除外するため、尿中ナトリウム排泄量のデータが得られていたサブグループで解析が行われた。するとこのサブグループでも全体と同様に、開始時アルドステロン濃度が高い群ほど高血圧発症が増加する傾向が見られ、尿中ナトリウム排泄量を含む多変量解析後もこの関係は維持されたという。

 アルドステロン濃度が高血圧発症の予知因子である可能性が示唆された形となったが、 Dluhy氏らは、「濃度最高群におけるアルドステロン濃度の19.1ng/dLという値は正常の食塩摂取者にしては高すぎないか」と指摘する。「濃度最高群に軽度の原発性アルドステロン症例が含まれていた可能性を排除できない」として、「サブグループ解析では4群それぞれのナトリウム/クレアチニン比を示してもらいたかった」と述べている。

 この点に関しVasan氏らは、アルドステロン濃度別の4群で、高濃度群に移行するにしたがって有意に高血圧発症が増加することを根拠に、濃度最高群に原発性アルドステロン症が含まれていた可能性を否定している。
 
 近年、臓器障害との関連で取りあげられる機会の多かったアルドステロンだが、高血圧研究でも再び注目が集まりそうだ。

 Vasan氏らによる論文の原題は「Serum Aldosterone and the Incidence of Hypertension in Nonhypertensive Persons」。既に次号(7月8日号)が発行されているが、アブストラクトはこちら http://content.nejm.org/cgi/content/short/351/1/33で閲覧できる。
(宇津貴史、医学レポーター)

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