2004.07.08

富士通 ナノテク利用で100倍高速・高感度のたんぱく質検出法を開発

 富士通と富士通研究所は、「DNAナノワイヤー」を用いて、既存の方法の100倍高速、100倍高感度で微量のたんぱく質を検出する技術を開発した。

 富士通は、10nm(ナノメートル)と短い一本鎖の合成DNA(DNAナノワイヤー)を電極に吸着させておくと、電気的な信号に応じて放出される現象を新たに発見した。DNAナノワイヤーに抗体を結合させたプローブ分子を作っておけば、これを電気信号に応じて放出することで、標的たんぱく質とプローブ分子の反応を電気的に制御できる。電気信号に同期した現象だけを観測することで、高感度な測定が可能になる。

 検出系の開発も実現した。このプローブ分子に蛍光色素を結合させておくと、電極に吸着している間は発光せず、電極から10nm以上離れると発光する現象を新たに発見した。プローブ分子は電極から離れると溶液中に拡散していくが、標的たんぱく質と結合すると拡散速度が低下し、発光時間が長くなるため、たんぱく質の濃度を広い範囲で光学的に定量できることが分かった。

 卵白に含まれるたんぱく質であるアビジンを標的たんぱく質、ビオチンを抗体として実施したモデル実験では、1L当たりの1フェムトモルから10ピコモル(10-15〜10-11mol/l)と広範囲の濃度で定量的検出が可能だった。

 同社では、検出系の条件を最適化することで、試料添加後20秒以内で標的たんぱく質の検出と定量が可能と見込んでいる。最終的には半導体技術と組み合わせることで、センサーチップの実現を目指すとしている。

 この技術を応用すると、例えば小児の鼻咽頭スワブから、ウイルス、細菌を含めた多種類の感染を数分間程度の外来診療時間内に判定するといったことも不可能ではない。「念のため」の抗生物質投与をしないで済む。癌など各種の疾患マーカーなどの検出系を構築する応用も検討されている。さらに人道的配慮はさておき、入国審査の際、わずかな審査時間の間に、SARSや新型インフルエンザなどの感染を検出するといった装置開発も夢ではなさそうだ。

 富士通のプレスリリースはこちらまで。(中沢真也)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. いよいよ始まる「看護師による死亡確認」 トレンド◎厚労省が遠隔死亡診断のガイドライン FBシェア数:863
  2. 新天地を目指すベテラン50代医師たちの事情 トレンド◎増える50歳代のキャリアチェンジ FBシェア数:5
  3. 高齢者対象の高血圧診療ガイドライン完成 NEWS FBシェア数:254
  4. 動かなくなって気付く…左母指の重要性 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:32
  5. 高齢2型糖尿病患者の薬剤選択、どう判断する? 岩岡秀明の「糖尿病診療のここが知りたい!」 FBシェア数:198
  6. 「脱水」は2つに大別して考える カデット特集●シーズン前に押さえよう 脱水の基本 FBシェア数:263
  7. 使い捨て医療機器は「再利用」から「再製造」へ インタビュー◎院内での中途半端な洗浄・滅菌はやめよう FBシェア数:196
  8. 患者指導にとって言葉は聴診器以上に大切だ 追悼◆日野原重明氏《インタビュー再録》 FBシェア数:991
  9. 80歳男性。右胸部に再発を繰り返す結節 日経メディクイズ●皮膚 FBシェア数:0
  10. 予約制で1日40人、念願のきめ細やかな診療実現 ルポ:50代の転職(3)◎完全予約制の小児科を開業 FBシェア数:102