2004.07.05

「高血圧予備域」でもCRPは31%増加:ギリシャ3000例の横断研究で明らかに

 2003年版米国高血圧ガイドライン(JNC7)は120/80mmHg未満を「正常血圧」とし、120〜139/80〜89mmHgを「高血圧予備域(Prehypertension)」と分類している。「高血圧予備域」という概念の導入は米国内でも大きな議論を呼んだが、ギリシャにおける調査研究で、高血圧予備域例では正常血圧例に比べ炎症マーカーであるC反応性蛋白(CRP)血中濃度が31%増加していることが明らかになった。ギリシャAthene大学のChristina Chrysohoou氏らが、American Journal of Hypertension2004年7月号において「ATTICA」研究の結果として報告した。

 ATTICA研究はギリシャAttica地方から無作為抽出した住民のうち、心血管系疾患や動脈硬化性疾患、感染症を認めない3042例を対象した横断研究。これら3042例は風邪症候群や歯痛など炎症の原因も持ち合わせていない。2001年と2002年に抽出を行い、2003年5月から8月にかけて血圧測定と空腹時血液採取を行った。血圧分類は、正常血圧が994例、高血圧予備域1188例、高血圧860例となっていた。

 心血管系リスクファクターや生活習慣などで補正後、血圧分類と炎症マーカーの関連を検討した。すると高血圧予備域では正常血圧に比べ、血中CRPが相対的に31%(p<0.01)、TNF-αは32%(p<0.05、女性のみでは有意差なし)、アミロイド-α 9%(p<0.05)、ホモシステイン6%(p<0.01)、白血球数は10%(p<0.05)有意に増加していた。正常血圧のCRP濃度は男性1.8mg/l、女性1.4mg/l、高血圧予備域ではそれぞれ2.4mg/l、2.0mg/lだった(ラテックス比濁法)。

 各種炎症マーカーとメタボリックシンドロームの関係も見たが、炎症マーカーと有意な相関が見出されたのはBMIだけで、年齢、HDLコレステロール、トリグリセリド、血糖値と炎症マーカーは相関していなかった。

 以上の結果からChrysohoou氏らは2つの仮説を提示している。「高血圧予備域でも炎症反応が亢進し動脈硬化性疾患のリスクが増加している」、「高血圧予備域ではすでに前臨床的な動脈硬化性疾患が進行している」というものだ。

 冠動脈疾患予知因子としてCRPにどれほどの感度があるのか最近議論になっている(英Cambridge大学のDaneshらの論文「C-Reactive Protein and Other Circulating Markers of Inflammation in the Prediction of Coronary Heart Disease」を参照)が、高血圧予備域では何らかの好ましくない変化が体内で進行しているのは確かなようだ。

 本論文の原題は「Association between prehypertension status and inflammatory markers related to atherosclerotic disease: The ATTICA Study」。アブストラクトはこちら で閲覧できる。
(宇津貴史、医学レポーター)

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