2004.06.28

胃カメラはもう苦しくない! 鼻から入れる内視鏡が好評

 胃カメラ(内視鏡)を受ける患者の苦痛を和らげる「経鼻内視鏡」が注目を集めている。この検査は、文字通り内視鏡を口ではなく鼻から挿入して消化器官の検査を行う方法だ。2002年10月に内視鏡関連の学会で発表された後、一部の内科医の間で広まりつつあり、検査を受けた患者からは高い評価を受けている。

 一般的に行われている経口内視鏡では、喉の奥にある舌根にスコープが接触するため、咽頭反射が起きて吐き気を催すことが多い。これに対して経鼻内視鏡では、スコープが舌根に触れることなく消化器に到達するため、患者は吐き気をほとんど感じることなく検査を受けられる。鼻腔内には麻酔剤が塗布されるので、痛みはほとんどない。また、患者は医師と会話することができるため、モニターを見ながら医師に質問できるなど、安心感のある診療にもつながる。

 経鼻内視鏡を考案し、2002年2月から日常診療で用いている出雲中央クリニック(島根県出雲市)の宮脇哲丸氏によれば、「患者からの評価は高く、ここ2年、年間30%ずつ検査件数が増加している」という。同氏が経鼻内視鏡を行った患者1876人に調査した結果、93%が「今後は経鼻内視鏡を望む」と回答している。学会などのセミナーでは大きな反響を呼んでおり、8月下旬には経鼻内視鏡研究会という会合も開催が予定されている。

 検査の方法は次の通り。まず鼻腔内に鼻粘膜を収縮させる薬剤を噴霧して鼻腔を広げた後、鼻腔内に麻酔剤を塗布・留置することでスコープが当たる際の刺激を抑える。あとは通常の経口内視鏡と同様に消化器官までスコープを到達させるだけだ。「処置は2〜3回経験すれば、誰でも行うことができる簡単なもの」と宮脇氏は語る。

 経鼻内視鏡が広まり始めたのは、細い内視鏡スコープが発売されたことによる影響が大きい。従来、一般的に使用されてきたスコープは、太さが約8〜10mmで、経鼻内視鏡検査には使いづらかった。富士写真光機が2002年2月に発売した5.9mmのスコープで、経鼻内視鏡検査が容易に行えるようになり、採用する医師が全国に広がりつつある。

 病変を見つける能力は経口内視鏡と遜色ないという。宮脇氏がこれまでに行った経鼻内視鏡検査2446人中、早期癌14人、進行癌9人を発見した。経口では同じく2446人中、早期癌11人、進行癌8人であり、発見率で劣ってはいない。

 経鼻内視鏡の欠点は、スコープが細いために、取り付けられる鉗子の種類や数が限られるため、消化器官内の止血ができないなど処置に限界がある点だ。しかし、内視鏡検査で実際に病変が見つかる頻度は1%程度と低い。病変が見つかった場合は、経口内視鏡など他の方法で対処する。宮脇氏は「集団検診などで検査が必要とされた患者のための、第1スクリーニングとして最適だと考えられる」と語っている。

 検査が受けられる施設は、出雲中央クリニックの他、東京医科歯科大病院・食道・胃外科(東京都文京区)、東京医科大八王子医療センター・消化器内科(東京都八王子市)、岡林医院(東京都港区)、大原ファミリークリニック(千葉県市川市)、森クリニック(横浜市戸塚区)、愛心内科・消化器科クリニック(札幌市中央区)、大阪赤十字病院(大阪市天王寺区)、奈良県立医科大付属病院(奈良県橿原市)、公立周桑病院(愛媛県東予市)など。
(野村和博、日経メディカル

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