2004.06.28

【世界脳卒中会議ダイレクト】 出血性脳卒中の薬物治療で画期的成果、24時間後の出血量4〜6割減少を実現

 アジア人には特に高率に発生するとされる出血性脳卒中の予後を大幅に改善し得る研究成果に大きな注目が集まった。出血性脳卒中は30〜40%と死亡率が高く、生き残った場合にも重い障害が残ることが多い。これに対してデンマークのNovo Nordisk社が創製したRecombinant Factor Seven-a (rFVIIa、米国での商品名はNovoSeven)を投与したところ、プラセボに対して24時間後の出血量が量依存的に4〜6割減少するという画期的な成果が得られた。6月26日に開催された最新臨床試験報告セッション「Late Breaking Clinical Trial」で、試験を主導した米Cornell大学医学校助教授Stephan Mayer氏が報告した。

 臨床試験は2002年8月〜2004年6月にかけ、世界20カ国73施設で400人の出血性脳卒中患者を対象として、3段階の用量による無作為化プラセボ対照二重盲検で実施された。出血性脳卒中に対する臨床試験としては最大規模になるという。

 試験では出血性脳卒中の患者に対し、発症3時間以内にCTを施行し、さらに1時間以内にrFVIIの40μg/Kg、同80μg/Kg、160μg/Kg、プラセボのいずれかを投与する。発症24時間後、72時間後にCTを再び施行して、24時間後の出血量の変化と90日後の死亡率、修正Rankin指数などの予後をアウトカムとして得た。

 試験の結果、ベースラインのCTによって測定した出血量に対する発症24時間後の出血量の増加量は、プラセボ群で29%だったのに対し、rFVIIの40μg/Kg投与群では16%、同80μg/Kg投与群では14%、160μg/Kg投与群では11%となり、プラセボ群に対する相対値は順に45%、52%、62%と大幅に減少した。80μg/Kg投与群と160μg/Kg投与群では統計的有意差が得られた。

 90日後の死亡率は、プラセボ群の29%に対し、40μg/Kg群と80μg/Kg群は18%、160μg/Kgは19%で、有意差は得られていない(p=0.16)が、34〜38%の減少傾向が得られた。同じく90日後の修正Rankin指数(mRS)はプラセボ群の平均4.1に対して、40μg/Kg群では3.6、80μg/Kg群では3.3、160μg/Kg群では3.4で、重症または死亡を示すmRS=4〜6の比率はプラセボ群の69%に対して、順に55%、49%、54%で統計的有意差が得られた。重症または死亡を回避するための治療必要人数(NNT)は、順に7.1人、5.0人、6.7人と優れた値が得られた。

 「救急治療室で昏睡に陥っていく患者をなすすべもなく見守るしかなかった経験を持つ臨床家として、今回の臨床試験の成果にはとても興奮している」。学会会場での発表直後に行われた記者会見でMayer氏がやや潤んだ声でのプレゼンテーションを終えると、記者会見では滅多にない万雷の拍手が送られた。
(中沢真也)

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