2004.06.28

非心原性脳梗塞に対する抗血小板療法、シロスタゾールが新たな選択肢になる可能性

 欧米では非心原性脳梗塞に対する抗血小板療法として、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモール・アスピリン併用、チクロピジンなどの使用が推奨されているが、最近日本から報告されたCSPS(Cilostazol Stroke Prevention Study)は、シロスタゾールが同療法の新たな選択肢になりうることを明らかにした。6月24日のサテライトシンポジウム「New Insights into Stroke Management」で東京女子医科大学の内山真一郎氏は、シロスタゾールがラクナ梗塞に対する有効性が証明された唯一の抗血小板薬であることを指摘するとともに、本剤が既知の血小板凝集抑制作用、血管拡張作用だけでなく、多様な機序を介して動脈硬化抑制作用を発揮することを明らかにし、他の抗血小板薬を超える有用性が期待されると述べた。

 シロスタゾールの動脈硬化抑制作用について内山氏が最初に示したのは、動脈硬化惹起性リポ蛋白といわれるレムナント様リポ蛋白(RLP)の影響とそれに対するシロスタゾールの効果を検討した成績である。まず臨床的な検討から、RLPは症候性脳梗塞患者で高値を示すことが明らかになった。そこでRLPが脳梗塞の病態に及ぼす影響を、in vitroでずり応力により惹起される血小板凝集において観察したところ、RLPはずり応力惹起血小板凝集を増強させた。RLPによる血小板凝集の増強はアスピリンとシロスタゾールにより抑制されたが、抑制効果はシロスタゾールがより著明だった。

 ずり応力により血小板が刺激されると血液凝固や接着因子発現を促進するP-
セレクチンが血小板から放出されるが、RLPをこの実験系に加えると、P-セレクチン放出が著明に亢進した。シロスタゾールはこれを有意に抑制したが、アスピリンは無効であった。

 ずり応力により血小板が活性化すると、血小板からマイクロパーティクルと呼ばれる膜小胞体が放出される。このマイクロパーティクルは白血球などの細胞の接着を促進し、血液凝固とともに炎症を促進すると考えられるが、RLPはマイクロパーティクルの放出も亢進させた。このRLPの作用に対しても、アスピリンは無効であったが、シロスタゾールは有意な抑制効果を示した。

 シロスタゾールは脳梗塞患者の脳血流を改善することが報告されているが、その機序として、本剤の血液粘稠度を低下させる作用が関与することが実験成績から示唆されている。シロスタゾールが血管拡張作用を示すことは早くから知られているが、血管内皮細胞由来の内因性血管拡張因子である一酸化窒素(NO)の産生をシロスタゾールが刺激することが明らかになったのは最近のことである。NO
には血管を拡張させるだけでなく、炎症や血栓形成を抑制する働きもあることから、シロスタゾールによるNO産生の増加は、複合的な機序で脳血管保護に寄与すると考えられる。

 シロスタゾールについてはこのほかにも、血小板由来成長因子による平滑筋細胞増殖を抑制すること、細菌毒素による炎症因子TNF-αの産生亢進や血管内皮細胞のアポトーシスを抑制すること、TNF-αによる接着因子VCAM-1の発現亢進を抑制することなどが明らかになっている。内山氏は以上に示したシロスタゾールの作用をpleiotropic effects(多面的効果)と呼び、臨床的有用性に関連する可能性を示唆した。(小林圭)

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