2004.06.27

【再掲】頭蓋内動脈狭窄に対するシロスタゾールの抑制効果示す−−TOSS studyより

 抗血小板療法は冠動脈疾患における血栓症の予防および冠動脈インターベンション施行後の再狭窄の予防に有効だが、頭蓋内血管の狭窄病変に対しても有効であるかどうかは、まだ明らかでない。本学会では、症候性頭蓋内動脈狭窄に対する抗血小板薬シロスタゾールの有効性を示す成績が6月26日の学術セッション「臨床トライアルの最新情報」で発表された。報告者はUniversity of Ulsan(韓国)のSun U.Kwon氏(写真)。

 頭蓋内動脈狭窄は韓国、日本、中国などのアジア諸国で比較的高頻度にみられ、虚血性脳卒中のリスクを高めることが報告されているが、有効な治療法はまだ確立していない。

 シロスタゾールについては、血小板凝集抑制作用に加え、血管拡張作用、平滑筋増殖抑制作用、動脈硬化抑制作用などが報告されているが、Kwon氏らはシロスタゾールのこのような作用特性に着目し、頭蓋内動脈狭窄に対する有効性を検討した。

 本研究の対象となったのは、中大脳動脈または脳底動脈に狭窄病変が認められ、かつ急性症状を呈した患者である。頭蓋内動脈や心臓に塞栓を生じる可能性のある疾患や病変をもつものは除外した。対象患者135例をシロスタゾール200mg/日またはプラセボに無作為割付し、6カ月間治療をおこなった。また、試験期間中、基礎治療薬としてアスピリン100mg/日を全例に投与した。治療効果は、磁気共鳴血管画像検査(MRA)および経頭蓋超音波ドップラー法(TCD)で判定される頭蓋内動脈狭窄の変化により評価した。

 試験中に38例が脱落した。その内訳はシロスタゾール群22例(32.7%)、プラセボ群16例(23.5%)である(有意差なし)。重篤な有害事象はシロスタゾール群で4例、プラセボ群で5例に発生したが、このなかには各治療群2例ずつ、計4例の冠動脈イベントが含まれている。また死亡は両群で1例ずつ発生した。脱落例が多かった主な原因はコンプライアンスの不良であり、シロスタゾールによると考えられる重篤な副作用はみられなかった。

 MRAによる評価の結果、シロスタゾール群では症候性動脈狭窄が45動脈中3
例(6.7%)で進行、11例(24.4%)で退縮した。一方、プラセボ群では52動脈
中15例(28.8%)で進行したのに対し、退縮は8例(15.4%)であり、シロスタゾールの有意な狭窄抑制・退縮効果が認められた(p=0.018)。

 次にTCDによる判定結果をみると、シロスタゾール群では42動脈中4例(9.5%)で狭窄が進行、12例(28.6%)で退縮した。これに対し、プラセボ群で進行、退縮を示したのはそれぞれ50動脈中14例(28.0%)、6例(12.0%)であり、この場合も両群の差は有意であった(p=0.003)。

 Kwon氏は以上の成績にもとづき、アスピリンとシロスタゾールの併用により頭蓋内動脈狭窄の進行とそれに起因する虚血性脳卒中に対する抑制効果の改善が、アスピリン単剤投与の場合よりも期待できると述べた。(小林圭)

■ 訂正 ■
 本文中「頭蓋内」とすべきところを「頭蓋外」と記してしまいました。訂正いたします。

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