2004.06.26

ω3比高い免疫食投与は脳卒中患者の感染率低下に寄与せず−入院期間短縮の傾向は示す

 抗炎症作用など免疫を増強する作用があるとされるω3脂肪酸の比率を増やし、アルギニンなどを付加した「免疫食」を経腸栄養で脳卒中患者に投与し、標準食投与群と比較したところ、感染症の発生率には差が見られなかったが、統計的有意差はないものの、入院期間がやや短縮する傾向が見られた。6月24日のポスターセッション「Medical Management: Acute Stroke」で湘南鎌倉総合病院脳卒中診療科の泉本一氏らが発表した。

 泉本氏らの研究グループは、2002年1月〜10月に来院した急性脳卒中患者972人のうち、3日以内に経腸栄養を施行できた患者154人を対象とし、免疫食を与えた100人と標準食を投与54人について後ろ向きに調査した。

 免疫食としては、味の素がスイスのNovartis社から国内の独占的製造・販売権を得て販売している経腸栄養剤「IMPACT」を投与した。IMPACTはアルギニンとω3脂肪酸、植物由来ヌクレオチドを含む(表)。

 その結果、標準食投与群における感染症発生率が44%だったのに対して免疫食投与群では46%、死亡率は標準食の14.8%に対して12%で、差が見られなかった。副作用としては、重度の下痢が標準食で11%、免疫賦活食で16%とやや免疫食で多かったが統計的有意差は見られなかった(P=0.55)。一方、入院期間の平均値では統計的有意差は見られなかったものの、標準食の35日に対して免疫食では29日と、免疫食で短縮が見られる弱い傾向(P=0.12)が見られた。

 海外の知見では免疫食の投与によって術後感染症の大幅な減少が得られたとする成果が発表されているのに対して、今回の研究で感染率に差が見られなかったことについて、泉本氏は、「脳卒中患者で最も多い感染症は誤嚥性肺炎であり、免疫食を投与しても誤嚥自体を防ぐことはできないためだろう」としている。実際、本研究でも肺炎の発生率が患者全体のほぼ4割と高い。泉本氏は、「免疫食の効果について、今後、CRPや白血球、リンパ球などの血液検査所見への影響について調べてみたい」としていた。(中沢真也)

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