2004.06.26

破裂のない脳動静脈奇形に対する治療は逆効果か、出血リスク3.6倍、急性増悪リスクは8倍に

 破裂のない脳動静脈奇形(Arterial Venous Malformations;AVM)は、外科治療や血管内治療、放射線療法などを行わない方が、予後が大幅に良好であるとする研究結果が出た。6月25日の一般口演で、米Columbia大学のC.Stapf氏が発表した。それによると、治療を行うことで、出血リスクは3.61倍に、臨床的な急性増悪リスクは8.17倍にも上るという。脳AVMに対して行われている侵襲的治療については、リスク評価を目的とした前向き試験データがない。同治療評価のための試験は急務と言えそうだ。

 Stapf氏らは、破裂のない脳AVM患者352人について、その治療の種類や有無、その後の経過について追跡調査を行った。脳AVMについては、脳血管造影で確定診断を行った。被験者の平均年齢は33歳で、うち女性は56%、平均の追跡期間は4.9年だった。また、脳AVMの平均最大直径は37mmだった。

 治療は、脳神経外科的摘出術や血管内塞栓術、定位的放射線療法のうちいずれかを単独または組合わせて行った。

 被験者のうち、治療を行ったのは275人(78%)、治療を行わなかったのは77人(22%)だった。治療を行った群は行わなかった群に比べ、出血リスクは3.61(95%信頼区間:2.00〜6.5,p<0.0001)倍、急性増悪リスクは8.17(95%信頼区間:5.13〜13.01,p<0.0001)倍と、顕著な差があった。

 なお、同研究は無作為化試験ではないため、治療群の方が非治療群より、もともと出血リスクが高い可能性があるなど、選択バイアスが含まれている。そのため今回の結果を受けてStapf氏らは、破裂のない脳動静脈奇形に対し、最適と考えられる侵襲的治療を行う場合と、全く行わない場合について、その予後を調べる無作為化試験「ARUBA」(A Randomized Trial Unruptured Brain AVMs)を、米国、ヨーロッパ、オーストラリアで行うことを決めた。同試験に関する情報は、http://www.arubastudy.org/まで。
(當麻あづさ、医療ジャーナリスト)

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