2004.06.25

シロスタゾールの血小板凝集抑制作用をアデノシンが増強−−シロスタゾール・ジピリダモール併用の有用性を示唆

 抗血小板薬シロスタゾールはフォスフォジエステラーゼ(PDE)3を阻害し、血小板内の環状アデノシン一リン酸(cAMP)を増加させることにより血小板凝集抑制作用を発揮するが、血漿中に存在する内因性アデノシンもアデノシンA2受容体を介して細胞内のcAMPを増加させ血小板凝集を抑制することが明らかになっている。この2つの物質を血小板に作用させると凝集抑制効果が相乗的に増強することを示す成績が、6月24日のポスターセッションで東京女子医科大学の中村智実氏(写真)によって報告された。

 中村氏らはシロスタゾールとアデノシンの相互作用を、ヒト濃厚血小板血漿を用い、実験的なずり応力ストレス負荷により発生する血小板凝集において検討した。ずり応力ストレスは血管分岐部や狭窄部などにおこる血流の乱れから生じるもので、臨床的にも脳血栓や一過性脳虚血発作の患者で観察されている。濃厚血小板血漿に回転板によるずり応力ストレスを負荷し、誘発される血小板凝集を光学的に測定、シロスタゾールとアデノシンの効果を観察した。シロスタゾール(1〜30μM)とアデノシン(0.3〜3μM)はそれぞれ単独で用量依存性に血小板凝集を抑制したが、両者を同時に加えると凝集抑制効果は著明に増強した。

 アデノシンがシロスタゾールの血小板凝集抑制作用を相乗的に増強させたことから、次に内因性アデノシンの活性を高める薬剤といわれるジピリダモールの効果を検討した。ジピリダモールはアデノシンの細胞内への取込みを阻害し、血漿中のアデノシン活性を上昇させるとともに、PDE3阻害作用を示すことが知られている。この実験では全血と濃厚血小板血漿を用い、シロスタゾールの血小板凝集抑制効果に及ぼすジピリダモールの影響を検討した。血小板凝集は前と同じくずり応力ストレス負荷により誘発した。

 ジピリダモールは濃厚血小板血漿ではシロスタゾールの効果になんら影響を及ぼさなかったが、全血では相乗的な凝集抑制効果を示した。この結果はジピリダモールの効果が、アデノシン活性が消去される濃厚血小板血漿では発現しないことを意味する。中村氏はこの成績にもとづき、シロスタゾールにジピリダモールを併用することで血漿中の内因性アデノシン活性が上昇し、血小板凝集抑制効果が改善する可能性があると述べ、両薬剤の併用に有用性が期待できるとの見解を示した。(小林圭)

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