2004.06.24

「ローカーボ・ダイエット」で、睡眠障害が改善 炭水化物制限食は、ナルコレプシーの症状を軽くする−−米Duke大学が報告

 炭水化物を極端に制限する「ローカーボ・ダイエット」で、睡眠障害の一種であるナルコレプシーの症状が改善する−−。こんな驚くべき研究結果が、米国Duke大学の研究グループから報告された。研究結果は、米国神経学会が発行する学術誌「Neurology」の6月22日号に掲載された。

 ローカーボ・ダイエットは、提唱者の名前を取って「アトキンス・ダイエット」とも呼ばれ、米国ではよく知られた食事療法の一つ。米国ではダイエット法として大ブームで、炭水化物の含有量を減らしたバー(棒状のスナック菓子風食品)やシリアル、飲料などがヒットを続けているが、新たな健康効果の報告を受け、注目がさらに集まりそうだ。

 ナルコレプシーは、突然眠気に襲われたり、居眠りを繰り返すなどの症状が出る睡眠障害で、10代、20代で発症することが多い病気。

 研究には、ナルコレプシーの症状に悩む男女9人(うち8人が男性、平均年齢47.6歳)が参加。炭水化物を1日20g未満に制限する食事療法を8週間続けた。

 ナルコレプシーの症状の重さを表す「NSSQ」(Narcolepsy Symptom Status Questionnaire)のスコアをみると、ローカーボ・ダイエットを始める前は161.9点だったが、8週後は133.5点に低下。完全に症状がなくなるわけではないが、少し症状が軽くなる(スコアが18%減少)ことがわかった。

 炭水化物の摂取量が少ないと血糖値が上がりにくい(低血糖状態)が、そのときには「オレキシン」(ヒポクレチンともいう)という、食欲を司る脳内たんぱく質が関与する神経の活性が上がることが確かめられている。

 ナルコレプシーの患者はオレキシンの働きが不十分であることが知られており、「食事中の炭水化物を制限することでオレキシン神経の活性が高まることが、症状改善につながったのではないか」と研究グループはみている。

 ナルコレプシーの治療は、生活指導(規則正しい生活で夜間の睡眠を十分とる)と薬物療法(日中の眠気を覚ます精神賦活剤などを服用する)が2本柱で、これまで食事はあまり重視されていなかった。

 今回の研究結果は、ナルコレプシーの治療において、食事療法が一つの柱になる可能性を示したものとしても注目されそうだ。

 この論文のタイトルは、「Diet therapy for narcolepsy」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 勤務先が急性期医療を縮小、転職に動く医師たち 医師ヘッドハンティングの舞台裏 FBシェア数:3
  2. 職員を信頼し、任せすぎた院長の不覚 院長を悩ます職員トラブル大研究 FBシェア数:1
  3. 胃穿孔でショック死、開腹の決断の遅れを認定 判例に学ぶ 医療トラブル回避術 FBシェア数:3
  4. 結核?まさかね〜 いや、でも… わかる!院内感染対策 FBシェア数:141
  5. ドタバタの延期から1年、新制度はどうなった? シリーズ◎どうなる新専門医制度 FBシェア数:95
  6. バリウム検診で「要精検」と言われる患者 胃カメラのおいしい入れ方 FBシェア数:54
  7. 初めてのレセ請求、期限間際に思わぬ問題が発覚 開業の落とし穴 FBシェア数:3
  8. 総合診療の研修プログラム、いまだ定まらず シリーズ◎どうなる新専門医制度 FBシェア数:100
  9. 米国の人工膝関節全置換術は適応を見直すべき BMJ誌から FBシェア数:66
  10. ナースが女になる瞬間? 病院珍百景 FBシェア数:13