2004.06.17

ASCO取材・編集後記:学会スタイル日米事情

 今回のASCOを取材してみて、日本の学会とは少し異なる運営スタイルがいくつか目に止まった。なかには、国内の学会で取り入れたら議論の活性化につながるのではないかと思える点もある。素朴な印象で恐縮だが、気づいた点を紹介してみたい。

●一般口演の演題数を大幅に絞っている

 今年のASCOの一般演題数は約3800。ところが口演に採用されたのはわずか250題で、全演題の7%弱に過ぎない。その分、1演題にはたっぷり15分間を割り当てている。スライド枚数は30枚程度で発表後、5、6人の質疑応答をしても余裕がある。口演の機会を得る演題は減るが、十分な討論時間が得られ、座長の進行にも余裕を感じた。

●一般口演でサブテーマごとに1人のコメンテーターが総括する

 セッションのなかで近いテーマの演題が数題まとめられていて、そのサブテーマの発表が終わるたびに1人のコメンテーターがスライドを使ってサブテーマの発表を総括する。コメントのプレゼンテーションには演題の発表時間と同じ15分間が割り当てられる。各演者からの反論や質疑応答時間はとらない。これにより、聴講者はサブテーマごとに個々の発表の位置付けと専門医による評価を得ることができる。

●ポスターは掲示期間中、発表者が張り付いている

 ポスターは午前、午後で貼り替えられ、4時間程度掲示される。その全時間ではないにしても掲示時間中の少なくとも前半2時間程度はほとんどの発表者がポスターの前に立っていて、説明を受けることができる。これは米国のほかの学会でも同様だった。

 ポスターの最大の利点は、自分の発表に関心を持って立ち寄った他の研究者と意見交換を行う貴重な機会を長時間確保できることにある、と思う。その点、掲示時間中ずっと発表者が張り付く米国の学会のスタイルは優れているように見えた。

●「昨日の注目発表」「今学会の目玉」といった総括が人気

 最近の米国の学会では、最終日に「今学会注目の発表」などとして、総括セッションが設けられ、参加者が殺到する傾向にある。今年のASCOでは早朝に「昨日の注目発表(Hilights of the Day)」というセッションが設けられていた。学会のコンビニ化だと嘆く声もあるが、大規模学会ではこうしたガイダンス機能は不可欠なものになりつつあるようだ。

 もうひとつ、一般口演を聞いた印象では、米国の学会の発表者は原稿を棒読みしている印象が少ないように感じる。何か特別な練習やリハーサルを行っているのだろうか。(中沢真也)

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