2004.06.15

【再掲】降圧度に差が生じたがバルサルタンとアムロジピンで第一次評価項目に有意差なし−−大規模臨床試験VALUE発表

 パリで開催中の第14回欧州高血圧学会で6月14日、大規模臨床試験VALUE (Valsartan Antihypertensive Long-term Use Evaluation) の結果が報告された。同臨床試験は50歳以上のハイリスク高血圧患者1万5245例を対象にARBのバルサルタンとCa拮抗薬のアムロジピンの予後改善効果をhead to headで比較したもの。その結果、血圧値に差が生じたものの「バルサルタンとアムロジピンで第一次評価項目(心イベント+心疾患死)に有意差なし(p=0.49)。アムロジピンは第二次評価項目のうち致死性+非致死性心筋梗塞発症予防で有意に優れ(p=0.02)、致死性+非致死性脳卒中発症予防も優れる傾向があったが有意差はなかった(p=0.08)。一方、バルサルタンは試験後半において心不全発症予防で優れる傾向を示し(p=0.12)、糖尿病の新規発症を有意に抑制した(p<0.0001) 」とのデータが得られた。

 対象患者はバルサルタン(80mg/日)群とアムロジピン(5mg/日)群に無作為に割り付けられ、両群ともに増量あるいは利尿薬などの併用により同程度の降圧が目指された。1日投与量の中央値はバルサルタン151.7mg、アムロジピン8.5mg。最終降圧値はバルサルタン群139.3/79.2mmHg、アムロジピン群137.5/77.7mmHgといずれも降圧目標値(140/90mmHg)に達したが、アムロジピン群で血圧値が平均約2.0/1.6mmHg有意に低かった。このため同じ降圧レベルで予後を比較するというVALUE 当初の仮説は果たすことができなかった。

 なお、両群の降圧の差は試験開始1〜3カ月以内で最大であり、この間の血圧降下の違いがアムロジピン群に有利に働いた可能性が示唆された。

 同試験ではハイリスク高血圧患者(登録時に約92%が降圧治療中)を対象としたため、倫理的な理由からそれまでに投与されていた降圧薬のウオッシュアウト期間を設けず、すぐに試験薬に切り換えるという方法が採用された。これが抗狭心症効果などの点でアムロジピンに有利に働いた可能性もある(登録時に45.8%に冠動脈疾患の既往、約40%にCa拮抗薬投与)。実際、狭心症はバルサルタン群で有意に多かった。両群とも忍容性は良好で、有害事象による投与中止はバルサルタン群11.9%、アムロジピン12.9%だった。

 今回、患者背景をマッチングして得られたデータも同時に報告された。これは、同程度の降圧度達成を予定していた試験開始6カ月の時点での収縮期血圧(139.9mmHg) 、年齢、性別、冠動脈疾患・脳卒中・糖尿病の既往の有無で補正(serial median maching法)したもので5006組が得られた。これらを後解析したところ、第一次評価項目を含む大半の転帰が両群でほぼ類似していたが、心不全による入院はバルサルタン群で有意に少なかった(p=0.040) 。

 後解析も含めて考えるとVALUE では、糖尿病と心不全でバルサルタンの「降圧を超えた臓器保護効果」の可能性が示唆されたと言える。人種別や未治療高血圧患者に対するサブ解析の結果も待たれる。

 同臨床試験の結果は、欧州高血圧学会のホームページでニュースとして報告されたほか、Lancetの最新版にも掲載される(ホームページでは既に公開されている)。
(松田隆志)

■ 訂正 ■
1)「第一次評価条目(心イベント+心血管死)」と表記しましたが、「第一次評価項目(心イベント+心疾患死)」の間違いでした。また、発表日は13日ではなく14日でした。お詫びして訂正いたします。

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